人は怒りが強ければ強いほど、表情を変えない時がある。名護市辺野古の新基地建設を巡る「辺野古違法確認訴訟」の高裁判決で県が敗訴した16日、翁長雄志知事は激しい感情を押し殺したまま会見した

▼翁長知事は用意されたコメントを読み上げる前、「大変あぜんとしている」と切り出し、「あぜん」という言葉を繰り返した。想定を超えた国の主張通りの判決内容への衝撃と怒りの強さをにじませた

▼高裁判決は新基地が建設できなければ、普天間飛行場は固定化されると述べ、「辺野古が唯一」とする国の主張を全面的に受け入れている。「法の番人」という役割を果たさない高裁を、政府の追認機関と批判するのも当然だ

▼沖縄の苦難の歴史にも背を向けた。翁長知事は裁判で、銃剣とブルドーザーで強制的につくられた基地と過重な負担を訴えた。その訴えは無視され、一蹴された。明確な根拠も示さないままに、沖縄の軍事的な地理的優位性を認めた

▼20年前の代理署名訴訟の最高裁判決の法廷で県側敗訴を言い渡したとき、傍聴席からは「最低裁」のコールがわき起こった。最高裁は再び同じ罵声を浴びることないよう沖縄の訴えに真摯(しんし)に向き合うべきだ

▼翁長知事は新基地建設を阻止する姿勢は変わらない。翁長知事は会見の最後に語った。「長い長い闘いになる」。(与那原良彦)