違法確認訴訟の判決は端的に言えば、裁判所が政府に「国策は地方の民意に優先する」とお墨付きを与えた内容だ。こと沖縄に関して政府と国会、司法の三権は分立せず、逆に一体化して新基地建設に突き進む。福岡高裁那覇支部は、そんな国家像をまざまざと見せつけた。

 在沖海兵隊の役割は重要なので、県外移転はできない。新基地が建設できなければ、普天間飛行場は固定化する。普天間で発生する日米合意違反の騒音は、運用上の都合だから仕方ない。翁長雄志知事は地方自治法の解釈を誤っている…。

 判決文は、まるで国の訴状を読んでいるような内容だ。裁判所は国の代理人に成り下がったのかと嘆息する。

 多見谷寿郎裁判長は代執行訴訟の和解勧告で、国に「勝ち続ける保証はない」と警告した。国と県は和解案に合意し、違法確認訴訟で仕切り直した。

 いま思えば勧告は、裁判所が国に「勝ち続ける保証」を提案したのだろう。

 3月の和解は国と県に協議を促したが、判決は「解決策で合意する可能性を肯定することは困難」と断じた。

 返還合意から20年間も解決していない問題で、わずか半年に数回の協議だけを見て態度を豹変(ひょうへん)させており、訴訟指揮の一貫性にも疑問が残る。

 多見谷氏は判決言い渡し後、これまでの弁論で知事に「確定判決に従うかどうか」を尋ねた理由に「地方公共団体が判決に従わないと、裁判所の権威を失墜させる」と述べた。

 司法制度の混乱を懸念するなら公益性のある指摘だが、県民は裁判所という役所の権威のため、新基地建設の断念を訴えているのではない。(政経部・吉田央)