沖縄では戦前、屋敷内の畑(アタイ)でいろいろな種類の野菜や果物などを少しずつ植え、それを収穫して生活する「庭先農業」が普通だった。十数年前に取材した講演会で講師がこんな話をしていた

 ▼庭先農業。初めて聞く言葉だった。四季折々の食べ物を栽培して狭い土地を有効利用する自給自足の生活だ。当時は農薬や肥料もないから、家畜のふん尿などが畑にまかれていたのだろう

 ▼マンションやアパートが立ち並び都市化した現代で、庭先農業は困難かもしれない。土地代も高く、畑も遠くまで行かないと手に入らない。スーパーやコンビニでは、お金を出せば簡単に物が手に入る

 ▼一方、食の安全・安心や健康への関心が高まっている。農薬をあまり使わない減農薬農業、農薬も化学肥料も使わない有機農業、土の持つ本来の力を生かした自然栽培…。割高だが、潜在的な需要は高い

 ▼先日、有機農業を県内に拡大させ、健康長寿の食文化復活を理念に有機農家らが協議会を結成した。県内の有機認定農家は約60戸とわずか。賛同者を増やし、生産から加工、販売までを担う6次産業化も見据える

 ▼まだ点の段階だが、将来的には線で結び、面に広げ、5~7人チームによる地域循環型農業を目指すという。協議会の取り組みが現代版庭先農業となるのか、注目したい。(玉寄興也)