「早く片付けてほしい」と鶴保庸介沖縄担当相は漏らした。国の意向に従って急いだのか。福岡高裁那覇支部が言い渡した辺野古違法確認訴訟の判決は粗雑な論理に満ちている

▼全知事が基地建設に反対したら「国の判断が覆されてしまう」から「尊重すべきだ」というのがその一つ。誰も受け入れないなら基地が本当に必要か、やり方は正しいか、国が点検すべきだろう。自治体とは対等なのだから判断撤回も仕方ない

▼実際、本土の自治体が反対した時、国は進んで判断を撤回してきた。在沖米海兵隊1500人の岩国基地移転やオスプレイの佐賀空港移転はすぐ立ち消えになった

▼本土の自治体は一度反対すればやり過ごせる。沖縄は何度反対しても聞いてもらえない。そんな中「本土が反対したらどうするんだ」と沖縄だけに受け入れを迫るのは差別の上塗りと言うほかない

▼多見谷寿郎裁判長は県が判決に従わなければ「裁判所の信頼権威を失墜させ、国全体に大きなダメージを与える」と言い、知事が従うと明言したことに「ほっとした。ありがとうございました」と言った

▼裁判所の体面は守った。本土の暮らしも守った。沖縄の暮らしは米軍に差し出した。よく言われる日米安保の壁、司法の限界どころではない。司法が積極的に差別を固定化する、空前の判決になった。(阿部岳)