沖縄市に住む比嘉典子さん(73)は、学生服の店を切り盛りしながら、老人クラブの役員を務め、シニア大学に通うなど、忙しい日々を送っている。

 一昔前の高齢者イメージとは違う、若々しく活発な女性だ。

 比嘉さんが地域の老人クラブ「山内老友会」に入会したのは65歳の時。PTA活動、婦人会活動を終え、60歳で老友会への誘いを受けたが、「老」という字に抵抗を感じ、先延ばしにしていたのだという。

 老友会入会後、応募した市の老人の主張大会で「『老人クラブ』という名を『高年クラブ』または『熟年クラブ』にしては」と提起したことがある。

 比嘉さんのこだわりが少なからず影響したのだろう。

 一昨年、沖縄市老人クラブ連合会は、会の愛称を「かりゆしシニアクラブ」に決めた。

 内閣府が2014年、60歳以上の男女6千人を対象に実施した意識調査が興味深い。

 「高齢者とは何歳以上か」の問いに、最も多かった答えが「70歳以上」の29%、次いで「75歳以上」の28%。高齢者の定義とされる「65歳以上」と回答したのはわずか6%だった。

 昨年、日本老年学会は「現在の高齢者は10~20年前に比べて、5~10歳は若返っていると想定される」との声明を出した。最新データが示しているという。

 心身ともに若返った「新しい高齢者」によって、高齢者像は大きく変わろうとしている。

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 年を取ることに肯定的な価値を見いだした「老人力」が流行語となったのはもう20年近くも前だが、地域行事や社会活動でシルバーパワーを感じる場面が増えている。

 子どもたちの登校を見守る交通安全ボランティア、学校での読み聞かせ、地域の祭りや行事の裏方。

 東日本大震災の被災地で、高齢者が中心となって取り組んだ傾聴ボランティアはよく知られていて、最近は子ども食堂などを手伝うシニアの姿も見かける。

 一方、ボランティアやNPO活動に参加したいが一歩が踏み出せない、生涯学習を始めるきっかけがなかなかつかめない、という高齢者も少なくない。

 社会参加活動では、時間にも心にも余裕のあるシニアが果たす役割が大きくなっている。

 気後れしている理由が何なのか、丁寧な調査と分析が必要だ。

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 仕事で子どもたちと関わり、地域行事に積極的に参加する比嘉さんは、「社会と関わることが元気のもと」と話していた。

 元気なシニアに共通するのは、社会参加への意欲であり、老いをマイナスととらえない生き方だ。

 きょう19日は「敬老の日」。

 総人口に占める65歳以上の割合は27・3%と過去最高を更新した。女性は3割を超えている。

 高齢者の力を引き出し、生かす仕組みを整えれば、社会の厚みはぐっと増す。