9秒でまるわかり!

  • 86歳男性が口を閉ざしてきた沖縄戦体験を初めて孫に語った
  • 米軍上陸後、南部で父母と妹を失い独りぼっちで終戦を迎えた
  • 子や孫、ひ孫計33人に恵まれ「戦争のない今が一番楽しい」

 沖縄県南城市大里の瑞慶覧長政さん(86)が敬老の日前日の18日、孫たちに請われ、沖縄戦体験を初めて語った。父母と妹らを亡くし、独りぼっちで戦後をスタートさせた長政さん。子ども6人、孫13人、ひ孫14人に恵まれた。自身を「艦砲ぬ喰(く)ぇー残(ぬく)さー(艦砲射撃の喰い残し)」と呼ぶ。改めて記憶をたぐり「みんなといることが一番楽しい」と声を詰まらせた。(南部報道部・天久仁)

「戦争のない今が一番楽しい」と孫らに話す瑞慶覧長政さん=糸満市摩文仁・平和の礎

 「おじいちゃんの生きてきた歴史を知りたい」と孫の瑞慶覧桂太さん(42)、城間幸乃さん(28)らが約1年前から、体験談を話してくれるよう長政さんに要望してきた。「みんなが集まる敬老の日近くに」と、この日を設定した。

 71年前、大里第二国民学校高等科1年生だった長政さん。米軍上陸後の南部を逃げまどい、家族を亡くした事実を親族に語ることはなかった。一方で「たくさんの孫やひ孫たちに話しておきたい」という気持ちもあった。

 18日、体験談を聞くために孫たちは糸満市の県平和祈念資料館会議室を貸し切りにした。集まった27人は壇上に立つ長政さんの表情をじっと見つめた。

 手書きのメモを持って語る長政さんは「米軍上陸後は玉城、南風原を転々と逃げた。艦砲射撃の合間に死体をかき分けて、水くみに出掛けたこともある」と声を震わせた。戦後、19歳で和子さん(86)と結婚して今に至るくだりでは「ありがとう。とてもうれしい」とほっとした表情をみせた。

 ひ孫の眞榮城欣乃介さん(12)=南風原中1年=は「いつも優しいじいちゃんだけど(戦争を)思い出すのは少しつらそうだった」と話す。会を企画した城間さんは「戦後頑張ってきたおじいちゃんをとても尊敬している。いつもと違う敬老の日になったが、話を聞けてよかった」と喜び、「年明けはおばあちゃんとそろってトゥシビーをお祝いしたい」と今後の健康を願った。