沖縄県南城市のサキタリ洞遺跡内で世界最古の貝製釣り針の発見が報告され、旧石器人が道具を用いて水産資源を利用していたことが明らかになった。遺跡内では、貝殻製品のほか食用とみられる魚介類などの動物遺骸も確認されており、多彩な道具や装飾品を作りながら独自の生活文化を培ってきた旧石器人の暮らしぶりが浮かび上がる。(学芸部・与儀武秀)

サキタリ洞遺跡調査について会見する沖縄県立博物館・美術館の藤田祐樹主任(右)ら関係者=17日、那覇市おもろまち

 2万3千年前の釣り針には作りかけの未完成品もあり、貝を砕いた後、砂岩などで研いで製作されたと考えられる。遺跡から遺物として出土するオオウナギやイラブチャーなど魚の捕獲に利用された可能性がある。

 日本の旧石器時代に、釣り針などの漁労活動を示す遺物は見つかっていないという。今回の発見によって今後、本土でも同様の漁労活動の可能性を視野に入れた研究の深化が促されることになる。

 洞遺跡からは、貝製のへら状器具や装飾品、石器も発見され、サキタリ洞の旧石器人が島しょ環境に適応し、貝や木材などの身近な素材を道具に活用して生活した姿がうかがえる。

 遺跡出土の動物遺骸については、焼けた痕跡のある食用動物を特定し、利用季節も検討された。旬のモクズガニを最良の時期である秋に食用にするなど「グルメ」とも捉えられる行動も明らかになった。

 沖縄の旧石器時代の遺跡からは人骨が多く発見される一方、石器などの人工遺物の発見は少ない。今後も継続される調査で、新たな発見が期待される。