壁の突起物を見定め、指先や足で体勢を保つ。自然と集中力が高まり、未知の世界に向かうような興奮を覚える。以前、数回体験しただけだが、ボルダリングの魅力は伝わった

▼2020年東京五輪の追加種目に決まったスポーツクライミング。そのうち、高さ5メートル以下の壁に設定された複数のコースを、制限時間内にいくつ登れたかを競うボルダリング。パリであった世界選手権で、樽崎智亜(ならさき・ともあ)選手が日本勢で初めて頂点に立った

▼とはいえ、まだ認知度が高いとはいえないスポーツ。強靱(きょうじん)な筋力や体力が必要と思われがちだが、意外や意外、体のバランスで登るため男女、年齢を問わず楽しめる一面も

▼今季W杯ランキング2位の野中生萌(みほう)選手や4度、年間女王になった野口啓代選手ら女性の活躍も頼もしい。2人はクライミングの良さを「ダイエットにもいい」というから、さらに興味も湧く

▼目が不自由で、視覚障がい者のクライミングの普及に努める小林幸一郎選手は「障がいがあってもなくても楽しめる」と言う。身体だけでなく、心理面でも自信につながり、可能性が広がることも特徴に挙げる

▼なじみは薄くても知ることで関心は高まる。楢崎選手は「子どもがかっこいいと思えるような競技」に育てることが夢だという。新たな五輪の魅力として応援したい。(赤嶺由紀子)