ノーベル文学賞作家の川端康成氏は生前、宮古上布を愛用していた。小説「雪国」の舞台になった新潟県湯沢市の歴史民俗資料館「雪国館」で遺愛品として展示されている

▼沖縄の染め織物、陶芸などの工芸品は国内外で高く評価される。若者に人気のセレクトショップのビームス新宿店は伝統的な手仕事の品々を販売する。その中でもやちむんは人気が高いという

▼沖縄の工芸品の美やその価値を発見したのは柳宗悦氏や濱田庄司氏、河井寛次郎氏ら民藝運動の先達たちだ

▼濱田氏らが作品を発表した国展90年を記念した「90回記念国展工芸沖縄展」が那覇市おもろまちの県立博物館・美術館で開かれている。人間国宝らの名品と現代作家の作品が並んでいる

▼「用と美」を追求した民藝(民衆的工藝)こそが美の本質であるとし、使うほどに親しさが出るのが特性としている。作品を鑑賞すると、胸にじんわりと温かさが広がり、ウヤファーフジ(祖先)の暮らしぶりに思いを巡らせる

▼濱田氏が建設した益子参考館(栃木県益子町)から壺屋焼の人間国宝、金城次郎氏らの作品などが出品された。東日本大震災で被災した参考館の復興に壺屋焼や沖展の関係者らが支援した。震災直後に全壊した登り窯などを目の当たりにしただけに、大地震を乗り越え里帰りした名品に感慨を覚える。(与那原良彦)