元「ジュリ」であることを明らかにした、正子・ロビンズ・サマーズさん(旧姓・新城)が23日(現地時間22日朝)、米アリゾナ州ユマの自宅で死去した。88歳。今帰仁村出身。戦前・戦後の沖縄を生き抜いた経験を手記に残し、異国の地で生涯を閉じた。

正子・ロビンズ・サマーズさん

 正子さんは1928年1月に大阪で出生後、沖縄に帰郷。那覇市辻で「ジュリ」として過ごした。自身が「ジュリ」だったことを公にするのは極めて異例。

 戦火が激しくなると「慰安婦」とされたほかの「ジュリ」とともに、沖縄戦時、首里にあった旧日本軍の第32軍司令部壕に移動。兵隊らとの共同生活の後、戦場をさまよい、沖縄戦を生き延びた。

 米国人男性と結婚して52年に渡米。画家として活動した。晩年には、自身の生涯を手記に記し、闇に埋もれていた沖縄の貴重な証言を残した。

「内容濃い手記に感謝の気持ち」関係者ら悼む

 沖縄女性史家の宮城晴美さんは訃報に「脳天に響くほどの衝撃だった」と絶句。「大変内容が濃い貴重な手記を残してくれた。感謝の気持ちが湧いてくる。彼女が生きた証しをきちんとまとめたい」と決意を新たにした。

 正子さんの水彩画や油絵が10月25日に那覇市のタイムスホールで開かれる個展で展示される予定。主催する実行委員会の糸洲のぶ子さんは「多くの苦悩と困難の中でも光を見失わなかった正子さんに敬意を表したい。神様の元で傷が癒やされるよう祈りたい」と話した。