集団予防接種の注射器の使い回しが原因で、B型肝炎ウイルスに感染した患者らが国を訴えたB型肝炎訴訟。国が責任を認めた基本合意から5年。ことし5月、国が患者に支払う給付金の請求期限が延長されたことをご存じだろうか

▼まだ感染に気付いていない人や気付いていても提訴に至っていない人も多く、救済を促すためだ。支給対象者の患者は45万人と推定されるが、原告患者数は約3万人(ことし1月末時点)と少ない

▼B型肝炎訴訟で国から給付金を受けた沖縄市の男性に、過去に受給した生活保護費を保護開始前から資力があったとして返還を求めた沖縄市と県の決定を、国が「誤り」として取り消した

▼沖縄市は、今後適切に対応するとしているが、返還請求した当時の対応も「適切だった」と分かりづらい説明をしている。「特異な事例だった」のであれば、さまざまな観点から丁寧な検証が必要だったのではないか

▼そもそも給付金が、感染から病状が悪化して慢性肝炎や肝硬変などの発症段階に応じて支払われる仕組みの理解が足りなかったと言わざるを得ない

▼病気でお金がもらえるといった偏見や病気への無理解による差別もいまだに根深い。医療行政の不作為による健康被害への賠償という視点に立ち返り、市や県は過去の対応の点検も急ぐべきだろう。(赤嶺由紀子)