2013年8月5日、米軍の救難ヘリHH60が、宜野座村のキャンプ・ハンセンに墜落し、炎上する事故があった。事故から9日後の14日、原因が究明されないまま同型機の飛行再開を判断した米軍司令官に対し、当時の沖縄防衛局長が「日本政府として再開は理解できる」とする文書を送っていたことが分かった。

 調査団体「インフォームド・パブリック・プロジェクト(IPP)」が情報開示請求で入手した内部文書で明らかになった。

 米軍は同型機の整備点検や訓練手続きの再確認・再教育を行った上で、14日に事故原因は「調査中」としつつ、飛行再開を発表している。

 県や地元自治体が原因究明まで飛行停止を求める中、防衛局長は「同機が果たしうる役割の重要性を勘案」し、即座にゴーサインを出したのだ。 

 ヘリ墜落事故は、現場に近い大川ダムへの影響が懸念されるなど、村民に大きな不安を与えるものだった。

 しかし米軍は、村や県の現場立ち入りを拒み、県の土壌調査が認められたのは事故から7カ月後。結局、村は水がめの安全性が確認されるまで1年余にわたり取水停止を余儀なくされた。

 米軍と防衛局で飛行再開の話が進む一方、地元自治体は調査どころか、十分な情報も与えられないままかやの外に置かれた。

 文書からあらわになるのは、住民より米軍の意向を重視する防衛局の姿勢である。

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 今月22日、米海兵隊の戦闘攻撃機AV8Bハリアーが国頭村沖の海上に墜落した。

 米軍基地が集中しているということは、言い換えれば事件・事故発生の蓋然(がいぜん)性が高いということである。

 米軍は地位協定によって基地の排他的管理権を持つ。そのため地方自治体は事故が発生しても調査すらままならない。

 実はここに沖縄の人々が辺野古新基地建設や高江ヘリパッド建設に強く反対している理由の一つがある。

 安倍晋三首相は26日の所信表明演説で、北部訓練場の一部返還に伴うヘリパッド移設について「県内の米軍施設の約2割、本土復帰後最大の返還」と強調した。政府は辺野古新基地についても「普天間飛行場の施設の半分以下の面積」と力説する。

 負担軽減とは面積の縮小だけを意味するものではない。沖縄で米軍がらみの事件・事故が絶えないのは、こんな小さな島に米軍の演習場や飛行場が集中しているからであり、米軍活動が地位協定によって保障されているからだ。

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 日米両政府が進める米軍再編計画は、両政府にとっては都合のいい計画かもしれないが、貴重な自然を守りながら将来にわたってその土地で生活を営もうとする人々が求める負担軽減にはなっていない。 

 政策決定によって最も影響を受けるものが政策の是非を判断すべきなのに、その機会すら奪われているのである。 憲法が定める地方自治の本旨に反し、自治権が侵害されているのは明らかだ。