「日本の総理大臣として答弁しなさいということが何が--だ。答弁できないのか、君は…。」(吉田国務大臣「-----」と呼ぶ)。1953年2月28日の衆院予算委員会での西村栄一衆院議員と吉田茂首相のやりとりで、『忘れられない国会論戦』(若宮啓文著、中公新書)に議事録が取り上げられている

▼--は無礼、-----はバカヤロー。吉田首相が発言を取り消したため、議事録では削除され、-で記されている。後に首相懲罰が可決され、衆院解散に発展する。「バカヤロー解散」だ。議事録は動乱した政治史を後世に伝えている

▼議会は言論の府であり、発言を記録した議事録は議会の権威を守る生命線といえる。議事録が信頼を失えば、歴史の検証に耐えられないだけではなく、議会の権威を失墜しかねない

▼那覇市議会の4月臨時会の議事録で、市長発言の一部が議会の許可を得ないまま削除された。議会の中間報告でも誰が指示し、なぜ削除されたのか真相は明らかになっていない

▼究明できなければ、同様の事態が他にも起きていたのかという疑念は払拭(ふっしょく)できない。議会の歴史にも泥を塗るようなものだ

▼原因不明のままで、現場で携わった人たちの責任が問われないかと憂慮している。関係者が胸に手を当て、真摯(しんし)に向き合えば、究明は難しくないはずだ。(与那原良彦)