県内の8月の完全失業率が3・9%となり、23年ぶりに3%台の低い水準に改善した。

 単月の統計ではあるものの、沖縄21世紀ビジョン基本計画が掲げる最終2021年度の展望「失業率4・0%」に届く数値だ。

 同時に発表された有効求人倍率も復帰後初めて1倍を突破した6月以降、3カ月連続で1倍台を維持している。

 景気の拡大が雇用に波及する。

 高失業率と低所得は、沖縄経済の二大特徴として長く語られてきた。

 失業率は復帰時の3%台から、1980年代は5%台に悪化し、2000年代は8%を超えた時もあった。ここ数年は改善傾向にあり、15年の失業率は5・1%。

 全国平均の倍というのが枕ことばのようについて回るが、総務省が発表した8月の全国の完全失業率は3・1%。その差は0・8ポイントまで縮まっている。

 失業率が改善した要因について、県は観光関連産業が好調で景気が拡大していること、情報通信関連企業の誘致による雇用の受け皿増などを挙げる。

 労働市場が活気づき、雇用環境が明るくなっているのは確かである。このままの状況が続けば、さらなる改善も期待できる。

 他方、失業率や有効求人倍率の数字からは見えないものもある。

 「生活のため仕事を選んでいる余裕がない」「仕事をしながらもっと条件のいい職場を探している」といった働く人たちの生の声だ。

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 県の統計調査が示すように、県内労働者の給与は全国平均の75%ほどと低く、逆に働く時間は長い。

 労働者1人当たりが生み出す成果を指標化した労働生産性からもそれは読み取れる。

 海邦総研の島田尚徳研究員の試算によると、「宿泊業・飲食サービス業」の沖縄の労働生産性は152万円で全国平均を26万円下回っている。ほとんどの産業で生産性は全国に比べ低いという。

 労働生産性と賃金は深く関係している。給与も上がらないのに、長時間労働を強いられれば、誰でも離職が頭をよぎる。県内の高い離職率は、厳しい労働環境と無縁ではないのだ。

 景気拡大による失業率の改善をより確かなものにしていくには、生産性の向上に目を向けるべきだ。

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 労働生産性を高めるには、新商品やサービスの開発といった付加価値の拡大とともに、「働き方改革」が重要となる。

 働く人の半分近くを占める非正規労働者の処遇改善はもちろん、従業員の健康を守る観点から長時間労働の是正に本気で取り組まなければならない。

 人材教育への投資や仕事と育児・介護が両立できる環境整備も魅力ある職場づくりを後押しする。

 少子高齢化によって県人口は近い将来減少に転じる。労働生産性の向上は、労働力不足への対応としても待ったなしである。