翁長雄志知事の埋め立て承認取り消しを違法と判断した福岡高裁那覇支部の判決を不服として県は3日、最高裁への上告理由書と上告受理申立理由書を提出した。

 高裁判決に不服がある場合、その理由に応じて「上告の提起」と「上告受理申し立て」の二つの手続きを取ることができる。

 県が「上告の提起」と「上告受理申し立て」の両方を申し立てたのは、高裁判決に憲法や公有水面埋立法、地方自治法の法令解釈の誤りがあるうえ、最高裁の判例にも反しており、どちらの手続きにも該当する、と判断したからだ。

 最高裁が上告理由を認めれば、名護市辺野古の新基地建設を巡る違法確認訴訟は、いよいよ最高裁で審理されることになる。

 立法・行政・司法の三権が互いに抑制し合い、均衡を保つことによって権力の行き過ぎを防ぎ、人権を守る-それが三権分立という制度を設けた理由である。

 だが、現状は「抑制と均衡」が機能しているとは、言い難い。行政権力が国会を押さえ、人事を通して司法にも強い影響力を発揮しているのが実情だ。

 高裁判決を巡っては中立性・公平性に深刻な疑義が生じている。

 高裁は知事側が申請した専門家8人の証人尋問を却下し、国の主張をそっくり取り入れた。判決には事実認定の随所に独断、思い込み、決めつけ、論理の飛躍が見られる。

 最高裁は、そのような理不尽な原判決を踏まえた上で、審理に臨んでもらいたい。問われているのは司法そのものの存在意義であり、三権分立の内実だ。

■    ■

 日米合同委員会での秘密合意を含む安保法体系が、米軍基地の集中する沖縄において、実際にどのように機能しているか、本土にはほとんど知られていない。

 外務省や防衛省は、日米安保体制の重要性を国民向けに強調するが、基地が集中することに伴う「負担と犠牲」については語らない。

 米軍への新たな施設区域の提供は、日米合同委員会で決められるが、沖縄県は決定の場に参加することができず、事前に意見を述べることもできない。住民の合意を得ずに強引に基地建設が進められ、完成後は米軍が排他的使用権を持ち、国内法を適用することもできない。

 県の上告理由書は「新基地建設を強行することは憲法92条で保障された『地方自治の本旨』(沖縄県の自治権)を侵害すること」だと強調する。裁判の核心がここにある。

■    ■

 高裁判決は、外交・安保に関しては国の決定に従うべきだと主張し、国も決まり文句のように「外交・安保は国の専管事項」だと指摘する。

 この主張には、国民をそのように思わせる魔力とまやかしがある。

 県は、「代替性のない希少な自然の不可逆的喪失という不利益」(上告理由書)を問題にし、明確な民意が示されているにもかかわらず沖縄だけがなぜ、自治・人権さえ顧慮されないのか、と問うているのである。