虫歯が10本以上あるなど「口腔(こうくう)崩壊」と呼ばれる状態の児童生徒が、半数の学校で確認された。

 本紙が各校の養護教諭に実施したアンケートで浮き彫りになったのは、経済的理由を背景に歯医者さんに通えない子どもの存在だ。

 2015年度の県内市町村立小中学校の歯科検診をもとに尋ねた調査で、110校から回答を得た。

 「口腔崩壊」状態の児童生徒がいると答えたのは57校。うち35校が貧困の影響を指摘している。

 自由回答欄に書かれた「歯が痛いと泣いて来室する」「虫歯で食べ物が飲み込めない」「親に痛いと言えず我慢している」など子どもたちの姿に胸が締め付けられる。

 貧困との関係は、経済的に苦しい家庭の子どもの学校歯科検診後の受診率の低さからも読み取ることができる。

 14年度学校検診で治療が必要と診断された要保護世帯と準要保護世帯の児童生徒のうち、実際に受診したのは3割ほどにとどまっている。

 子どもの虫歯予防で重要なのは、食後の正しい歯磨き習慣と、糖分の取りすぎに注意し時間を決めておやつを食べるなどの生活習慣だ。親が仕事に追われ子どもと向き合う時間がとれないと、歯磨き指導がおざなりになり生活習慣も乱れやすい。加えて家計が苦しいと、歯科にかかることができず状態は悪化する。

 「口腔崩壊」は全国的に問題化しているが、虫歯のある子の割合が全国一高い沖縄ではさらに深刻である。 

■    ■

 経済的に困窮する家庭を支援する就学援助制度の中に医療費の項目があり、それを使って虫歯を治療することができる。

 子ども医療費助成制度によって自己負担のない自治体もある。

 なのになぜ、歯がぼろぼろになっても受診しようとしないのか。

 養護教諭らが感じているのは「子どもの健康に対する親の意識の低さ」である。そこにはネグレクト(育児放棄)など家庭の問題が横たわっている。

 制度そのものや申請の仕方を知らない保護者も少なからずいるという。苦しいからこそ使ってほしいのであり、自治体や学校の積極的な周知と相談しやすい雰囲気づくりが求められる。

 未受診者を追跡し、どう取り組めば治療につながるのか、検診後のフォローにも力を注ぐべきだ。

■    ■

 アンケートには「めがねを買えない子がいる」「貧困と子どもの肥満は深く結び付いている」などの記述もあり、「口腔崩壊」にとどまらない健康問題も報告されている。

 歯医者さんに行けない子の中には、その他の医療機関にもつながっていないケースが多いと推測される。

 受診抑制が子どもの健康を脅かしているのではないか心配だ。

 治療されずに放置された虫歯は、貧困など家庭が抱える問題に対するサインである。

 子どもの治療と親の支援を並行して進めなければならない。