沖縄県の翁長雄志知事が名護市辺野古の新基地建設に伴う埋め立て承認を取り消してから、13日で1年を迎える。知事が発した言葉を振り返りつつ、この1年の道のりを市民はどう受け止めるのか-。

翁長雄志知事は、辺野古問題の節目で記者会見を開き、自らの言葉で語ってきた=9月16日、県庁

 新基地建設を巡る代執行訴訟第1回口頭弁論があった昨年12月2日、証言台に立った知事は琉球処分、沖縄戦、米軍施政権下などの歴史に触れ「魂の飢餓感」のフレーズを使った。

 裁判を傍聴したボーダーインク編集者の新城和博さん(53)は「この1年、知事の言葉は、ある時は力強く、県民の感情を代弁するようだったが、その言葉は知事自身の姿勢に跳ね返ってくる」と指摘。「知事の発言に一喜一憂するのではなく、今後は行動に注目すべきだ」と話す。

 今年2月15日の第4回口頭弁論後、記者団に「最高裁で負けた場合は判決に従う。辺野古に基地を造らせない(手段)は別の形である」との見解を示した。

 日本自然保護協会の安部真理子主任は「県外土砂搬出規制条例を強化させるなど、辺野古阻止の手法は県主導でできることは多い」と言う。

 「私たちは心を一つに、強い意志と誇りを持ってこの壁を突き崩していかなければ」「マケティナイビランドー(負けてはいけない)」。6月19日の県民大会で基地問題解決に向けた不退転の決意を示した。

 同じ壇上にいた名桜大4年の玉城愛さんは「知事の言葉や表情から本気度が伝わる。多くの人が励まされたと思う」と振り返り、「今後も県民の思いを代弁してほしい」と語った。

 違法確認訴訟で県敗訴の高裁判決が出た9月16日。国の主張を全面的に認める司法判断に対し「県民を愚弄(ぐろう)している」と述べ、司法への失望感を示した。

 辺野古で座り込みを続ける大西初子さん(72)も判決文を読み、がくぜんとした。「最高裁に希望を持ちたい。この1年間、県民の思いを受けた知事の判断は間違っていない」

 一方、知事は今月8日、米軍北部訓練場の年内返還の政府方針を「歓迎」と発言し、新基地建設反対との“矛盾”を批判する声が出た。3日後、記者団に発言は不適切としつつ「公約を実現するためには(角突き合わせない対話も)なければ話し合いそのものができない」と理解を求めた。

 沖縄平和運動センターの山城博治議長は「知事の今後の姿勢に不安を抱く人もいるはず。県民の総意は、これ以上の基地は要らないということだ」と訴えた。