家族の中に20歳違いというのは、なかなかいないかもしれない。親子にしては少し近いし、きょうだいにしては離れている。身近にない同居人構成だが、新鮮味と同じぐらい親近感を与える。

映画「お父さんと伊藤さん」

 34歳の彩(上野樹里)と54歳の伊藤さん(リリー・フランキー)のフリーターカップルのアパートに、74歳の彩の父(藤竜也)が兄家族の家から引っ越してくる。きっかけは嫁・しゅうとの仲たがい。

 気むずかしい父は気ままカップルに小言を言いまくる。怒る彩を、ひょうひょうとした人柄でなだめる伊藤さん。

 作品の根っこにあるのは高齢の親との同居問題。生々しい題材だが、身構える必要なし。過剰に献身的な人物は出ないし美しいせりふもない。いさかいのシーンはどこか緩やかで、互いを大事に思う本音がにじむ。3人の名演技がほんのり目頭を熱くする。(学芸部・松田興平)

 ◇シネマQで上映中