■デイビッド・ジョーンズさん(35) 県系2世 ハワイ在住

 17年ぶりの沖縄で目の当たりにしたエイサー。青年たちが打ち鳴らす勇壮な太鼓の音が、腹の中まで響いた。沖縄市で生まれ、9歳まで過ごした沖縄の記憶が次々とよみがえった。

YOHで取り組むエイサーの魅力について話すデービッド・ジョーンズさん=ハワイ

 「26歳になって初めて、沖縄のアイデンティティーに目覚めた」

 立派にたくわえた口ひげの間から、時折白い歯をのぞかせて屈託なく笑う。現在、ハワイの沖縄青年会「ヤング・オキナワンズ・オブ・ハワイ」(YOH)で会長を務めるデイビッド・ジョーンズさん(35)。米国人の父と、那覇市出身の母を持つ。

 9歳で、生まれ育った沖縄を離れてハワイに移り住んだ。米国の学校に通い、大学を卒業。いつの間にか、自分の中から「オキナワ」は消えていた。沖縄に生まれながら「沖縄人のアイデンティティーを自覚しない2世」だった。

 だが2006年、初めて自身の中の「ウチナー」に気付いた。きっかけは、母に誘われ何げなく参加した第4回世界のウチナーンチュ大会だった。

 エイサー演舞では太鼓の大きな音、気合の入ったヘーシに魅了された。さらに国際通りのパレードで掛けられた言葉が、生まれて初めて自分のルーツを意識させた。「ウエルカムバック、オキナワ」(お帰りなさい、沖縄へ)。

 それまで米国人として育ち、自身のルーツを考えたことはほとんどなかったが「自分はウチナーの血を引いている。そのことに誇りを感じた」。ハワイへ戻りすぐにYOHへ入会。2012年から、会長として青年会活動をまとめている。

 ハワイに暮らす“オキナワン”たちの絆を結びつける役目を担うYOHは、現在、15歳から84歳までの県系人約60人が集う。クリスマスにはお年寄り400人をランチへ招待し、沖縄の歌でもてなす。「先輩方を大切にする沖縄の習慣、心をつないでいってほしい」との思いからだ。

 毎年4月には、旧盆に向けてエイサーの練習を開始。10年のキャリアがあるジョーンズさんは、今では後輩たちの指導者だ。

 来年2月には父になる。子どもには、沖縄のアイデンティティーを引き継いでほしいと心から願う。

 10年前に大会で芽吹いたウチナーへの思いは、ハワイで大きな花を咲かせ、再び沖縄に帰ってくる。ジョーンズさんは、ハワイの若い県系人に呼び掛ける。「沖縄へ、アイデンティティーを確かめに行こう」(政経部・大野亨恭)

 ウチナーンチュが世界へ雄飛し117年。その子弟たちが、移住者の誇りや家族の願いを受け継ぎ、自身の夢に向かって走りだしている。次代を担う若者たちを第6回世界のウチナーンチュ大会を前に紹介する。