沖縄市の商店街から聞こえてくる三線の音色。ゆっくりと奏でる「涙そうそう」に合わせて思わず口ずさむ。日本語や三線などを学ぶ研修室から漏れてくる。演奏者は、海外移住者の子弟研修生の面々だ

▼ルーツがある市町村で、沖縄の文化や歴史を吸収しようと励む若い県系人の姿勢は初々しくも頼もしくもある。読谷村で研修中のブラジル2世・阿波根有司マウリシオさん(34)の夢も面白い

▼両親が話すしまくとぅばを聞いて育ち、覚えたいとの思いからゲーム開発を手掛けている。ブラジル人が楽しみながらしまくとぅばを学ぶ機会を提供するというユニークな志を応援したい

▼幼いころ家族でペルーから引き揚げ、現在ペルー料理店を手伝う4世の比嘉シンティアさん(35)は、自身のアイデンティティーに悩んだ時期もあった。でもいまは迷わず日系人、と答える

▼ペルーも沖縄も故郷。気負わず、4世としてできる何かを探したいという。習った空手を沖縄で外国人に教えたいとも。そんな彼女や彼らと県民がアイデアを出し合う機会がもっとあっていい

▼世界とつながる県系人との草の根の触れ合いやビジネス交流、ネットワークづくりは沖縄の可能性を広げる。世界のウチナーンチュ大会まで約1週間。迎える側の県民が県系人の思いに目を向けることが成功の鍵となろう。(赤嶺由紀子)