「何を言っているんだ沖縄が」。県出身の俳優、津嘉山正種さん(72)は若手時代、劇団の先輩が口にした言葉に耳を疑った

▼強い口調で真意をただすと、本土出身の先輩は即座に「失言だった」と謝ったという。議論が熱を帯びた酒座での発言だったが、いつもは理知的な先輩の言葉には「沖縄蔑視」の臭いが漂っていた

▼8年前、津嘉山さんを取材した際にうかがった話である。普段は理性で抑えているが、心の奥深いところに隠れている醜い「素顔」を垣間見たようでショックだったと振り返っていた

▼発言から半世紀近くたち、本土復帰から44年にもなるのに、沖縄に対する本土の人の認識は変わっていない。東村高江周辺の米軍ヘリパッド建設現場で起きた、大阪府警の機動隊員による「土人」発言である。沖縄県警は「不適切発言」と認めて「誠に遺憾」とのコメントを出した

▼発言した若い隊員を責めるのはたやすいが、それだけでは問題の本質を見誤るだろう。警備中の混乱した状況下で発した言葉の背景に何があるのかを本土の皆さんも考えてもらいたい

▼あらためて問う。安倍政権が、全国500人の機動隊を投入してヘリパッド建設を強行する素地づくりに加担しているのは一体だれなのか、と。冒頭の言葉と、醜い「素顔」が浮かび、やりきれない思いが募る。(稲嶺幸弘)