「1票の格差」が最大3・08倍あった7月参院選は、投票価値の平等を定めた憲法に反するとして弁護士グループが無効を求めた訴訟で、福岡高裁那覇支部(多見谷寿郎裁判長)は、「著しい不平等状態にあったとはいえない」と述べ、「合憲」と判断した。

 今回の訴訟は、憲政史上初の「合区」導入後の判断となる。14高裁で16件提訴された。これまでに那覇を含む4件で「合憲」、大阪など5件で「違憲状態」の判断が示された。

 合憲判決は、合区前に4・77倍だった格差が縮まったことを挙げ、十分とは言えないまでも是正効果は一定程度あったとみなす。那覇支部も「投票価値の平等の観点からはいまだ不十分と言わざるを得ない」としながらも、合区導入により格差は大幅に縮まったとして「格差が長期間にわたり継続していると評価することはできない」と判断した。

 一方、違憲状態とした判決は、格差3・08倍のままでは「著しい不平等状態を解消したとまでは言えない」とし、さらなる是正の必要性を指摘した。その一環として、合区拡大の必要性に踏み込んだ判決もある。

 合区後の各判断は「合憲」「違憲状態」とも、合区を改革の一歩と位置付けている点が特徴だ。

 背景には「1票の格差」を巡り2014年、最高裁が「都道府県単位の方式を改める立法措置がいる」と判示したことがある。今訴訟も最後は最高裁が一括して判断を示すことになるが、合区による格差解消には課題もある。

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 夏の参院選では、合区となった徳島と高知、鳥取と島根の4県のうち、鳥取・徳島・高知の3県で投票率が過去最低を更新した。中でも合区内の立候補者すべてが徳島出身だった高知の投票率は、全国ワーストだった。

 地域とつながる候補者が出馬しなかったことで、選挙への関心が薄れたことは否定できない。

 「地方の声が国政に届かなくなる」ことへの危機感も根強い。全国知事会は11月、参院選の合区解消に向け都道府県ごとの代表制を明記する憲法改正案を提示する予定だ。

 人口の都市集中と地方の過疎化が極端に進む中で、合区の増加を懸念している。国政は、社会保障や経済など地方の暮らしと密接にかかわる。それら政策への影響力の減少を危惧するもので当然といえる。

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 国会議員が全国民の代表であることは間違いない。一人一人の投票価値を平等にするため「1票の格差」は縮める必要がある。同時に、国民は地域で生活する人々の集まりだという点も忘れてはならない。

 例えば沖縄の基地問題解消に、沖縄選挙区から選出される国会議員の役割は大きい。

 格差是正は単純な定数削減によるのでなく、選挙制度の抜本的な改革で実現すべきだ。

 衆院と参院の位置付け、議員報酬、選挙区のあり方など課題はいくつもある。社会の要請や変化と合わせ、改革を続ける姿勢こそが必要だ。