沖縄県出身者や在日コリアン、被差別部落出身者が多く住む歴史的背景がある大阪の松井一郎知事が「出張ご苦労様」と機動隊員を擁護し、差別発言を助長した。大阪に35年住んだが、当時は「朝鮮人」「沖縄人」はお断り、という風潮が色濃く残っていた。在日コリアン居住地域では盛んにヘイトスピーチが行われている。そこの行政トップによる人権感覚の鈍化こそが差別構造の表れである。

金城実

 沖縄戦では県民が差別から逃れるため立派な日本人として国に命をささげるという同化の意識があった。「府警の警官が一生懸命、職務を遂行していた」という言葉は軍命に従い強制集団死を遂行した沖縄戦を想起させる。県知事や名護市長、県民が基地は沖縄のためにはならないと闘っていることに「北部の基地を何とか返還させるため」の“負担軽減”という県民だましのトリックを使った。

 権力による事件という視点も見落としている。公務員と一般市民を対等に扱って「売り言葉に買い言葉」と言い、報道に「メディアが鬼畜生のようにたたく」と被害者のような表現を使う。沖縄に襲いかかる差別意識丸出しの風潮から戦争に突き進む姿がみえる。(彫刻家)