演武祭に参加した沖縄空手道小林流小林舘協会のメンバーで、高段者の空手着の胸には県指定無形文化財保持者で8月に死去した仲里周五郎さんの名前が縫われていた。同協会最高顧問だった仲里さんから生前、贈られたもので、参加者は「ギネス新記録達成の快挙を見せたかった」としのんだ。

8月に亡くなった仲里周五郎さんの弟子たちが、気迫の演武を披露した

マティアス・アサトさん

8月に亡くなった仲里周五郎さんの弟子たちが、気迫の演武を披露した マティアス・アサトさん

 長男で同協会会長の稔さん(64)は「ギネスに挑戦すると知って『そういう時代になったんだな』と喜んでいた。長生きして見てもらいたかった」と振り返った。同協会理事長の玉井栄良さん(69)も「これからも頑張れといただいた空手着で記念すべき舞台に立てて、身の引き締まる思いだった」と感慨深げだった。

■「ルーツに近づいた」アルゼンチン3世のアサトさん

 アルゼンチン3世のマティアス・アサトさん(37)は「記念演武祭」に出るために来沖した。演武後、「ルーツに近づくことができた。ウチナーンチュ大会に参加することで、沖縄への思いはさらに強くなると思う」と喜びを語った。

 小林流空手道5段のアサトさんはアルゼンチンで自営業の傍ら、門下生の指導をしている。空手を始めたのは5歳の時で、「沖縄というルーツに少しでも近づいてほしい」と父に勧められたことがきっかけだ。周囲に県人会などがなかったため、空手だけが沖縄を感じることのできる唯一の機会だったという。

 演武前、「空手発祥の地・沖縄で演武することには特別な意味がある」と真剣な面持ちで語ったアサトさん。終了後、ギネス認定の報を聞き、「沖縄で形をやるのが夢だった。忘れられない思い出になった」と満面の笑みだった。