国際通りを白い道着で埋めつくした空手愛好家たちの演武は壮観だった。

 緩急自在、いぶし銀の技を見せた高段者。基本動作を一つ一つ丁寧にこなす高校生。きりりとした表情もかわいい子どもたち。

 約4千人が一斉に右の拳を突き出し「ヤー」と声を上げる姿に、沖縄空手の新たなページが開かれたという思いを強くした。

 空手の集団演武の人数でギネス世界記録に挑戦する「空手の日記念演武祭」が23日、那覇市の国際通りであり、みごと3973人の新記録を樹立した。

 きょう25日の「空手の日」を盛り上げる大記録の達成である。

 言うまでもなく空手は沖縄が発祥の地だ。

 民衆の護身術として生まれ、長い歴史と風土に育まれ、先人の努力によって発展してきた。

 南米や北米に移住した県人、戦後、沖縄で空手に親しんだ米軍人によって世界各地に広まり、今や愛好家は5千万人とも1億人ともいわれる貴重な文化遺産である。

 演武祭には、この日のために海を越えてやってきたという外国の空手家、世界のウチナーンチュ大会に合わせて参加したという県系人の姿も目立った。礼節を尊ぶ平和の武としての精神性に、空手の魅力を感じている人が多いようだ。

 沖縄の心にもつながる伝統空手が、世界の人々を引きつける力となっていることは、とても誇らしい。

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 心身の鍛錬が人間形成や青少年の健全育成につながるとの評価があるからだろう。沖縄の子どもたちが空手に接する機会も増えている。 

 沖縄尚学高校と中学校では、9年前から空手を必修授業とし、週1回70分の稽古に励んでいる。演武祭にも900人余りが参加し、ギネス記録樹立に貢献した。

 この夏のタイムス全沖縄少年少女空手道大会では、2千人余りの小中学生が鍛えた技を披露。

 最近は運動会でエイサーとともに空手演武に取り組む学校も増えている。

 空手が2020年東京オリンピックの追加種目に決まり、県勢のメダル獲得が期待されることも追い風だ。

 機運の盛り上がりを、世界レベルで活躍する若手選手の発掘・育成・強化へとつなげたい。

 すそ野は広く、頂はより高く。

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 空手の日のきょう、県立武道館で「ウチナーンチュ大会空手・古武道交流演武祭」が開かれる。

 来年3月には沖縄空手会館も開館する予定で、県は「空手発祥の地」の発信に力を入れる。

 東京五輪に向けて官民一丸となって空手競技の「形」の沖縄開催も要請しているところだ。事前合宿の誘致も同時に求めるが、選手や関係者、観客に発祥地を訪ねてもらう文化プログラムを用意してもいいのではないか。

 沖縄空手界が一つにまとまって、「聖地オキナワ」をアピールする時である。