沖縄県名護市辺野古の新基地建設で、沖縄防衛局が埋め立て本体工事に着手したと発表してから29日で1年となった。当初、国は護岸を建設し、埋め立て工事を本格化する考えだったが裁判の和解により工事は中断。工事用道路など本体工事に向けた準備作業も進んでいない。国は来春にも出るとみられる最高裁判決で勝利し、工事再開を見通すが、翁長雄志知事は岩礁破砕許可など知事権限を行使して建設を阻止する構えで、国が描く工事の先行きは不透明だ。(政経部・大野亨恭、安田桂子)

名護市辺野古沖

名護市辺野古沖

■国、最高裁判決待ち工事再開

 沖縄防衛局は、翁長雄志知事が埋め立て承認を取り消した15日後の2015年10月28日、本体工事の着手届け出書を県へ提出した。この間、防衛局の申請を受けた国土交通相が知事の承認取り消しの効力を止め、閣議で代執行手続きへの着手を決めるなど強行策を繰り返した上での強制「着手」だった。

 防衛局は翌29日、護岸工事に必要な資材の製作や保管場所として使う陸上作業ヤード2カ所の整備を始めたことをもって、「埋め立て本体工事に着手した」と発表した。

 11月には、汚濁防止膜設置のための大型ブロックを積んだ作業船を沿岸部に搬入。護岸の建設工事を早急に進める構えをみせた。だが、翌16年1月の宜野湾市長選への影響などを考慮して作業の中断を繰り返しスケジュールは大幅に遅れた。

 さらに、国は承認取り消しを求め翁長知事を相手に代執行訴訟を提起。12月には県が執行停止の取り消しを求め国を訴えるなど、県と国は辺野古新基地建設を巡り三つの訴訟で争う法廷闘争に入った。迎えた3月、国が裁判所の和解を受け入れ、辺野古の工事は完全に中断した。

 結局、15年10月の「着手」以降、作業に入ったヤード整備や工事用仮設道路の建設は完了にはほど遠い状態で止まったままだ。和解を受け、防衛局はフロートも撤去した。

 一方、和解後、国は取り消しの是正指示に応じない知事に対し、違法確認訴訟を提起。一審の高裁判決は知事の取り消しを違法と判断、県は不服として最高裁へ上告した。最高裁判決で国側が勝たない限り埋め立て承認は復活せず、国は辺野古の工事を再開できない状況が続く。

 一方、国は県が求める臨時制限区域の解除や海底に沈めたコンクリートブロックの撤去には応じていない。「裁判で勝利すればすぐに工事を再開する」(防衛省関係者)ためだ。

 防衛局は現段階では、埋め立てに関係のないキャンプ・シュワブ陸上部の隊舎建設工事への着手を模索している。最高裁判決は来春にも出る見通しで、国は国側勝利の確定判決を得て、護岸建設などの本体工事に一刻も早く着手する考えだ。