元ジュリ(遊女)で旧日本軍の第32軍司令部壕に兵隊らと共同生活していたと手記で明かし、9月にがんのため88歳で亡くなった画家、正子・ロビンズ・サマーズさんの絵画展が那覇市のタイムスホールで開かれている

▼正子さんは3歳半で辻(つじ)遊郭に身売りされ、ジュリに。旧日本軍とともに行動し戦闘に巻き込まれながらも奇跡的に生き残った

▼戦後は米軍キャンプの炊事場で働き、廃油を売りながら遊郭の借金を返済。やがて米軍人と結婚し渡米したが、家庭の事情で困窮したことが画家になるきっかけだったという。風景や草花の絵が多い

▼会場には絵画だけでなく、きりっとした表情が印象的な正子さんの写真や生前の映像も上映され、連日多くの人が来場している。貧困や戦争に翻弄(ほんろう)され、苦難の生涯を送った正子さんの作品の前で、長い間立ち止まって鑑賞する人が目立つ

▼「身売りした父親を許した。心の優しい人だったと思う」と南風原町の60代女性。宜野湾市の60代女性は「米軍統治のころは、米軍に頼るしかなかった。正子さんはアメリカに行ってよかったんじゃないか」と語った

▼海外へ渡ったウチナーンチュは、それぞれ苦労した歴史があるだろう。多難な人生を歩んだ正子さんの歴史もその一つとして心に留めたい。絵画展はあすまで。(玉寄興也)