過去最多の県系人が参加した「第6回世界のウチナーンチュ大会」が沖縄セルラースタジアム那覇で大きな盛り上がりのうちに閉幕した。創作エイサー、空手、琉舞など沖縄伝統芸能に、観客から大歓声が上がった。国や世代を超え、沖縄がルーツであるという共通点だけで集った会場は一体感に包まれた。

 閉会式では10月30日を「世界のウチナーンチュの日」と制定した。翁長雄志知事と、提唱した名護市のアルゼンチン3世比嘉アンドレスさん(41)とペルー3世伊佐正アンドレスさん(26)が交互に読み上げ、高らかに宣言した。

 宣言は「沖縄の心」というべき内容を盛り込んでいる。ウチナーンチュが持っているものとして「許し合う寛容の心」「助け合う相互扶助の心」「先祖への感謝の心」「出会った人を愛する心」「平和を愛する心」など13の精神を具体的に挙げた。そのたびに会場からは大きな賛同の拍手がわき起こった。

 不寛容の空気が世界、日本を覆う中で、宣言は「沖縄の心」がますます重要になることを訴えている。私たちもあらためて心に刻みたい。

 大会は5年に1度開かれるが、記念日の制定は空白の年を埋め合わせ、来年以降、記念行事を開催することになろう。沖縄で、海外で、同じ日にアイデンティティーを確かめて絆を強める。ウチナーネットワークがさらに緊密になることを期待したい。

 「みんなで祝える日の創設を」との2人の思いが行政を動かした。共感しスピード制定した行政も評価したい。

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 今回の大会には26カ国・2地域から過去最多の約7300人が参加。1990年の第1回大会の約2400人に比べると約3倍の伸びだ。

 県レベルの催しも多彩に催されたが、ウヤファーフジ(先祖)の出自である市町村が中心となった歓迎会も盛んだった。三線やエイサー、琉舞など沖縄独自の文化や芸能などを披露し、歓待した。

 満面の笑みを浮かべたり、ゆかりの人と抱き合って喜んだりする県系人を見ると、アイデンティティーを再確認するきっかけとなったに違いないとの印象を受ける。

 ウヤファーフジの親類縁者やその地域の住民と触れ合い、ルーツの沖縄を自分の目で見て肌で感じる。沖縄のチムグクル(肝心)が実感できたのであれば、こんなにうれしいことはない。私たちも県系人の苦労に思いをいたし、敬意を表したい。

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 29日の世界若者ウチナーサミットでは伝統芸能やしまくとぅばの継承、ネットワークの強化をテーマに討議した。アイデンティティーの核心であり、若者も危機感を共有していることがうかがえた。

 討議で県や市町村が海外の子弟受け入れをしているが、逆に沖縄から海外に送り出す制度をつくったら、との提案があった。双方向で学び合う方法である。一考に値する案ではないだろうか。

 県系人というだけでこのような大規模でユニークなイベントを開催することができるのは沖縄だけだろう。5年後がいまから楽しみだ。