環境に優しい「E3」ガソリンの沖縄県内普及に向けて活用した看板の撤去などのため、環境省が来年度概算要求で約4億3千万円の予算を求めていることが1日までに分かった。補助金なしでの商業化が困難なためとしている。全国に先駆け、沖縄での普及を目指し2011年度から約54億円の国費が投じられた「ビッグプロジェクト」の全面廃止が決定的となった格好。環境省の音頭で、E3を導入した給油所は県内56カ所に上り、関係者からは戸惑いの声も上がる。(社会部・知花徳和)

E3普及に向けた取扱店の表示も撤去されることになった=1日、那覇市内

 環境省は、E3ガソリン廃止に伴う看板撤去やタンク洗浄など原状回復費に加え、事業の成果や課題を報告書にまとめる費用で4億3千万円を想定する。普及に54億円もの税金を投入した上、原状回復にも4億円余りを費やすことになったが、環境省の担当者は「技術上は問題なく、県内で一定のシェアを確保できたのは大きな成果だった」との認識を示した。

 事業廃止の判断は、6月に環境省事業を点検する外部有識者らの行政レビューで「廃止」判定が出たためだと説明。「レビューを重く受け止めた」とした。レビューは、E3が補助金で1リットルあたり7円を補填(ほてん)しなければ一般ガソリンと同じ販売価格にならないのを問題視し「商業化への道筋が見えない」と結論付けていた。

 だが実際には、E3を製造していた南西石油が4月に石油販売から撤退し、E3調達が困難になったのも大きな要因になったとみられる。E3導入の給油所側は4月以降、一般のガソリンに切り替えざるを得ない状況だった。南西石油の事業を引き継いだ太陽石油は「現段階で、E3普及事業参入を検討していない」としている。

 普及促進から一転しての廃止判断に、給油所側の心中は穏やかでない。「予算を計上して看板を撤去すればよいという問題ではない」。県内5カ所でE3を販売してきた、おきりゅうの前原政信代表は憤る。「観光立県をうたう沖縄こそ、率先して環境に配慮した燃料を活用すべきだ。E3は誇りの持てる燃料で、販売できない状況は非常に残念」と肩を落とす。瑞穂石油の玉那覇美佐子会長も「E3などバイオ燃料の普及は車社会の沖縄で、消費者が気軽に環境貢献できる手段だった。再開の希望はまだ捨てたくない」と語った。

 ことば:「E3燃料」 県産サトウキビなどの廃糖蜜を発酵、分離・蒸留し製造したバイオエタノールを原料用ガソリンに3%混ぜた燃料。従来のガソリンと同様に給油して使用できる。環境省は、県内のE3普及支援事業を実験段階も含め2011年度から開始していた。