沖縄市に「やんばるの森がある」と聞いて首をかしげた。空から見るとやんばるの森の南限が、市のちょうど北側に当たると知って納得

▼市立郷土博物館で開催中の企画展「やんばるの入口」でその奥深さを知ることができる。2012年度から5年間の調査をまとめ、国内でも未確認の昆虫など1万点余の標本が並ぶ

▼市の北側に位置する「嶽山原(たきやまばる)」は米軍嘉手納弾薬庫の近くの森林地帯。やんばるの森と同じイタジイなどが生い茂るブロッコリーのような森だ。新種のアリバチも発見され、絶滅危惧種の植物なども生息する

▼国のレッドデータブックで最もランクが高い絶滅危惧1A類に指定されているタカツルランの株も多く見つかり、謎が多い生態の解明につながるかもと期待は膨らむ

▼展示以外の標本を保管する収蔵室には、わずか数ミリ程度の多くの種類の昆虫たちも眠る。チョウやガ、バッタ、アリなど小さな生き物たちはいまにも動き出しそうだ。今後詳細な分析も行う予定で、ここにも新種が含まれている可能性があるという

▼都市圏に息づく貴重な環境に驚くと同時に、いかに足元の自然に目を向けていなかったかも思い知らされる。学芸員の刀禰(とね)浩一さんは「沖縄市の財産」と言う。世界自然遺産登録を目指すやんばるの森につながる宝に会いに行ってみては。(赤嶺由紀子)