「やんばる国立公園」の世界自然遺産登録を巡り、米軍とのやりとりの開示を求めた情報公開請求に対し、環境省が一切の情報を不開示にしていたことがわかった。

 情報公開請求していたのは調査団体「インフォームド・パブリック・プロジェクト(IPP)」。環境省は文書が存在することは認めながら、リストや件数さえ示さない徹底した不開示だ。

 世界自然遺産の登録を目指すに当たって米軍北部訓練場の存在が最大のネックになるというのは専門家の一致した見方である。米軍基地に国内法が及ばず、オスプレイなど米軍の訓練が生態系に与える影響が避けられないからだ。

 環境省が世界自然遺産登録と北部訓練場の関係をどう説明したか、これに対して米軍の対応はどうだったのか-などのやりとりが両者の間でなされたはずである。

 それを不開示とするのは、当事者の国頭村など関係自治体をないがしろにするものであり、納得できない。

 調査団体が指摘するように、世界遺産登録などがヘリパッド建設に反対する市民らの反発を和らげるためのものであれば本末転倒である。

 環境省は不開示の理由を「非公開を前提とし、作成されたもの」「他国等との信頼関係が損なわれる恐れがある情報」と説明する。

 「他国等との信頼関係が損なわれる」とは情報を不開示にする際の魔法のような言葉である。日米で何が話し合われ、何か決定されたのか。ブラックボックスの中だ。

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 環境省はやんばると西表島、奄美大島と徳之島の4地域を「奄美・琉球」として、早ければ2018年の世界自然遺産登録を目指している。

 やんばるは、脊(せき)梁(りょう)部を中心に陸域の特別保護地区と第1種特別地域の計5217ヘクタールを対象にする考えだ。

 北部訓練場を取り囲むようないびつな形になる。同訓練場では過半の返還の条件として東村高江集落の周辺に六つのヘリパッドを新設する計画が進んでいる。2カ所はすでに完成し、4カ所が強行されている。残り4カ所を建設するために立木2万4325本を伐採、面積は3万8156平方メートルに及ぶ。米軍の強い要望で東海岸の訓練水域とヘリパッドを結ぶ歩行ルート約2キロも新設される。

 これらの大規模な自然破壊がやんばるの森全体の生態系を崩すことにつながることは間違いない。オスプレイによる回転翼の乱気流、高熱の下降気流、爆音、低周波音も動植物には危機的だ。

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 北部訓練場で米軍がどういう対応を取るかは、世界自然遺産登録の帰(き)趨(すう)を決する重要な問題だ。周辺住民らも影響を受ける。住民らは当事者として情報にアクセスする権利があり、環境省はむしろそれに積極的に応えなければならないはずである。

 環境省の本分は、やんばるの森のように「世界でここにしかない」貴重な自然を守ることである。

 情報公開に対し、都合のいいように非開示にするのは、自らの存在意義にもとる行為というほかない。