第42回新沖縄文学賞(主催・沖縄タイムス社)の最終選考会が1日、那覇市内であり、梓弓(あずさゆみ)さん(39)=豊見城市=の「カラハーイ」が正賞に決まった。佳作は該当作がなかった。贈呈式は来年1月17日、タイムスホールで行われる。

梓弓さん

 応募24作品中、5作品が本選考に残った。作家の中沢けいさん、又吉栄喜さん、名桜大学学長の山里勝己さんが審査に臨んだ。

 中沢さんの講評 「潮と風の流れが止まる『大凪』という時間を捉え、ミステリアスな感覚を物語に生かしており感心した」

 又吉さんの講評 「文体に疾走感がある。パソコンで謎を解明するなど現代に立脚し、『大凪』が不可思議な魅力を持っている」

 山里さんの講評 「『大凪』というマジカルな時間を基調に置き素晴らしい。少年の感銘を抑制して書き良い作品に仕上がった」
 

沖縄の歴史文化が題材 梓弓さん受賞喜ぶ

 【豊見城】第42回新沖縄文学賞(主催・沖縄タイムス社)正賞の梓弓(あずさゆみ)(本名非公開)さん(39)は、昨年に続く2度目の応募で念願をかなえ「ぜひ取りたかった。これでおいしいお酒が飲めますね」と喜んだ。

 受賞作「カラハーイ」は伊平屋島を舞台に、島の少年が特攻隊兵士の幽霊に出会う物語。方位磁針(カラハーイ)を軸にストーリーが展開する。

 非日常的なファンタジーに憧れるが「私のような者が手を付けていいジャンルなのかと思っていた」と胸の内を明かす。一方で沖縄の歴史、伊平屋の自然をイメージしながらの創作は「十分に時間をかけた。書きやすかった」と振り返る。

 広島県出身。沖縄在住11年を数えるが「沖縄には歴史や文化、眠っている題材がたくさんある」と言う。

 作家の目取真俊氏を尊敬する。「どの作品も作られたのではなく、呼吸に合わせているような気がする」と話す。目取真氏も過去に同賞を受賞しており「少しでも近づけたら。まだまだですけど」とはにかんだ。