中部農林高校相撲部の小濱寿監督(36)の夕食はにぎやかだ。沖縄市登川の自宅で、下宿している生徒4人と家族の計7人で食卓を囲む。伊江島出身の小濱監督自身、高校時代は木崎智久監督(53)=現与勝高教頭=の家に下宿して競技に打ち込んだ。「いつか恩師のようになりたかった。相撲だけでなく、人に好かれ、気が付く選手を育てたい」。同じ釜の飯を食い、温かいまなざしで成長を見守る。(大門雅子、我喜屋あかね)

小濱寿監督(左)の自宅では毎晩、食卓を全員で囲み、会話も弾む=沖縄市

小濱寿監督(中央)の自宅で下宿する(左から)宮城航大、翁長海成、仲里隆治、友利祐誠=10月29日、具志川ドーム

小濱寿監督(左)の自宅では毎晩、食卓を全員で囲み、会話も弾む=沖縄市 小濱寿監督(中央)の自宅で下宿する(左から)宮城航大、翁長海成、仲里隆治、友利祐誠=10月29日、具志川ドーム

 新築4LDKの自宅の1部屋を下宿部屋に充て、4月から選手を受け入れた。部活が終わると、うるま市の学校から買い出しをして帰宅し、夕食を準備するのが小濱監督の日課だ。

 8合の米を炊き、栄養バランスを考えておかずを作る。2日夜の食卓には豚肉や白菜、もやしなど具だくさんのちゃんこ鍋とコロッケ、ハンバーグが並んだ。学校での話で盛り上がり、箸も進んだ。

 小濱監督が選手を預かるようになったのは自身の3年間の下宿経験が大きい。「島を出た当初は寂しさもあったが、木崎先生や奥さんがとても気遣ってくれた。稽古中は怒られても、家に帰ればお兄さんのような感じだった」と感謝する。

 胸に刻んでいるのは「相撲が取れるのは35歳まで。その後が長い。人の模範となり、応援される選手になりなさい」との教え。指導する立場になって、社会に出ても通用する人育てに力を入れる。また、休日には生徒たちに野菜の切り方を教えて一緒に料理するなど、親身になって面倒を見ている。

 10月29日の県高校新人体育大会相撲競技では、個人・団体の全種目を中部農勢が独占した。個人80キロ級を制した1年の翁長海成(16)は名護市の久辺中出身。「ほかの高校と迷ったけど、小濱先生が誘ってくれたので中部農に決めた。寮生活でみんなで一緒にいる方が青春みたい」と高校ライフを満喫する。

 伊江中出身の宮城航大(15)も「同級生は島から出て一人暮らしも多いけど、自分にはここでの生活がいい。楽しいし、寂しさも感じない」と笑った。