話題のヒョウ柄のあの人、人気タレントやゲームキャラクターの仮装、流血メークなどなど、先週末からの数日、都心はハロウィーンを楽しむ若者であふれた

▼新しいイベントとして定着しつつある。気乗りはしないが、非日常を楽しむ姿を見るのは慣れてきた。同じ時期に物議をかもしたこの衣装については、ノリに任せてはいけないだろう

▼女子アイドルグループ「欅(けやき)坂46」がハロウィーンライブで着た衣装である。ナチスの軍服に似ていると、海外メディアが報じ問題になった。ナチスの迫害を受けたユダヤ人の人権団体が糾弾し、プロデューサーらが謝罪に追い込まれている

▼「若者がナチス風の服を着て舞台で踊るのは、ナチスの虐殺の被害者に多大な心痛を与える」。人権団体は被害者や遺族の心に寄り添い、関係者の認識不足を批判した

▼そう目くじらたてなくても…、との声もあがる。ファシズム思想と卑劣な差別主義で罪のない人を虐殺したナチスを、人気グループのかわいらしさのノリで飲み下していいのか。静かに胸内に問うてみるといい

▼歴史修正主義や人種差別、移民排斥が再び世界の問題となり、多くの人の懸念が強まっている時代でもある。憲法改正で「ナチスの手口に学べ」と言った閣僚もいる。やはり想像力低下の広がりは何とも不気味である。(宮城栄作)