「劇艶おとな団」(安和朝彦団長)の第11回公演「九人の迷える沖縄人(ウチナーンチュ)」が12日、那覇市のJAおきなわ真和志支店3階大ホールである。1972年の本土復帰を前に、会議室に集められた9人の討論を通して、混迷の中にあり続ける沖縄を描き出す。脚本は安和学治と国吉誠一郎、演出は当山彰一。沖縄でしか生まれ得ない作品を地域を超えて発信することを目指した企画で、鳥取県の鳥の劇場(主宰・中島諒人)を中心に開催される「鳥の演劇祭9」にも招待されている。主催は一般社団法人おきなわ芸術文化の箱。同法人の役員も兼ねる、安和朝彦、安和学治、当山彰一が語り合った。(聞き手=学芸部・真栄里泰球)

地方の演劇のネットワークを構想する安和朝彦

二重構造になっている作品をどう伝えるのか考えを巡らせる当山彰一

復帰を通して沖縄を見つめ直す脚本の安和学治

地方の演劇のネットワークを構想する安和朝彦 二重構造になっている作品をどう伝えるのか考えを巡らせる当山彰一 復帰を通して沖縄を見つめ直す脚本の安和学治

 -初演は2015年。手応えは。

 学治 基本的にあるのは世替わり。アメリカ世からヤマト世になった復帰をちゃんと捉えたかった。当時僕は3歳くらいだった。

 当山 現代と復帰の問題をリンクさせて見てくれた人もいたな。『730』をこの劇で知ったという若い人もいた。

 朝彦 勉強になったとか、両論併記的でなくもっと突っ込んだほうがよいのではないかという意見もあった。

 -再演に当たって考えたことは。

 学治 長さは初演の1・5倍くらいになっている。(共同脚本の)誠一郎は36歳かな、考えの方向性を合わせるのが結構な作業だった。題名の「迷える沖縄人」には見ている人が迷ってほしいというのがある。「何が善で何が悪か、何が必要で何がいらないのか」沖縄はずーっと迷っているなという感覚。

 当山 会議室での事件が複雑になったんですよ。そこの構造がしっかり描けていれば、深くなると思うんです。

 学治 面白くなっていると思いますし。役者が変わってレベルが上がった。

 当山 沖縄で活躍している俳優とうちのメンバーが絡むとどんなことが起きるのだろうと楽しみだった。

 朝彦 おとな団にとって客演は初めて。沖縄公演は芸術文化振興基金、鳥取公演は沖縄県、沖縄県文化振興会の助成を受けた。公的なお金を使うので、広く沖縄の演劇に効果があるようにという意図もある。

 -鳥取県の「鳥の演劇祭9」で公演する。

 学治 昨年、鳥の劇場の中島さんから「この作品を持ってきてください」とオファーがあった。

 朝彦 伝統芸能なら持って行けばそのまま沖縄だが、現代演劇なので沖縄から発信する意味や沖縄の生活感・歴史観がうまく表現できたらと思う。

 当山 お客さんは地元8割、鳥取県外・国外が2割だそうです。反応が楽しみだ。沖縄公演でもだが、復帰前後の資料やパネル展示もしようと思っている。

 学治 去年視察した時、韓国の作品を見て、韓国を近く感じた。この作品でも沖縄を近く感じてもらえたらいい。

 -2017年に収容人数100人規模の小劇場の開館を予定しているが。

 朝彦 芸術文化が東京中心でなくてもいい。県内外の小劇場のネットワークをつくりたい。

 【あらすじ】1972年の沖縄の本土復帰を目前に、9人の沖縄人が一つの部屋に集められた。有識者、主婦、戦争を体験した老女、沖縄へ移住した本土人…。27年間のアメリカ世を経て、沖縄人は大きな時代の渦の中にいた。さまざまな思いが混ざり合い、反発しあう中、現在に通じるそれぞれの沖縄が浮かび上がる。

 【出演】平良曉、国吉誠一郎、なかちかおり、上地李奈、久高友昭(以上劇艶おとな団)。新垣晋也、犬養憲子、宇座仁一、島袋寛之、福永武史(以上客演)

 【沖縄公演】開演は12日午後2時と7時。会場は那覇市のJAおきなわ真和志支店3階大ホール。入場料は前売2500円。高校生以下は千円。問い合わせは電話、090(2507)0225。

 【鳥取公演】「鳥の演劇祭9」正式招待作品。19日、鳥取県鳥取市鹿野町の鹿野往来交流館で上演。詳しくは http://www.birdtheatre.org/