主人公は、チベットの小さな村に暮らす人々。畑を耕し、家畜を育て、歌い祈る。つつましく暮らす彼らの願いは、聖地ラサへ巡礼すること。

「ラサへの歩き方 祈りの2400km」の一場面

 ラサまで1200キロ、更に、その1200キロ先の聖なる山・カイラスへの巡礼へ、11人の村人が喜んで参加する。トータル2400キロ、日本を縦断するほどの距離を「五体投地」で進む旅。両肘・両膝・額を地面に投げ出し、ひれ伏しては立ち上がり、またひれ伏す。生きとし生けるものたち全ての幸せを祈り、ゆっくりと前へ進む。どんな困難を前にしても、感情を高ぶらせることも、落ち込むこともなく、全員が祈ることに全身全霊をささげる。

 強くて優しくて、美しい彼らは祈りを知らない者の幸せさえも祈る。つき物が一枚剥がれたようなすがすがしさに包まれ、美しい涙が流れたような気がした。(桜坂劇場・下地久美子)

◇桜坂劇場で11月5火から上映予定