著者は、第25回丸山豊記念現代詩賞を受賞した詩人である。受賞作の『生きようと生きるほうへ』は、3・11の震災後東京から母の故郷・沖縄に移住し綴(つづ)った詩集である。震災後、被災地の東北からだけでなく、関東からも多くの人々が沖縄に移り住んだ。移住者には、幼児や児童生徒がいる若い家族も多く、著者もまた妻と幼い娘と共に移住した一人である。

島の風は、季節の名前。旧暦と暮らす沖縄(講談社・1728円)/しらい・あけひろ 1970年生まれ。詩人。2011年母の故郷の沖縄に移り住む。「心を縫う」「くさまくら」など詩集多数▽とうま・たえ 写真家。写真集に「Tamagawa」

 移住者に共通することは、第一に、わが子の安全と健康を最優先しての決断である。著者は沖縄に移住した2011年から今年にかけて、詩集だけでなく本書を含む多数の旧暦の季節の移り変わりと人々の暮らしをテーマにした著書を発表してきている。

 その中でも、『日本の七十二候を楽しむ-旧暦のある暮らし-』はロングセラーとなっている。本書を含む旧暦シリーズを精力的に発表し続けてきた動機について、ロングセラーとなった著書から一文を引用したい。

 -それでも私たちはここからまた生きていかねばなりません。そう心するとき、昔ながらの暮らしに教わることがたくさんあります。古来、人が何を大切にしてきたか、自然からどれほど恩恵を受けて生活を営んできたか、何に暮らしのよろこびを覚え、どのように収穫に感謝してきたか…、そうしたことを知り、伝え、受け継いでいきたい-

 旧暦シリーズ沖縄版とも言える本書は、妻であり写真家の當麻妙との共著だ。本書を開くと、はじめに深い藍色の海面とその上空に架かる虹の風景が広がり、その写真を背景に詩が調和する。旧暦1~12月の順に、各月に吹く季節風名を見出しに、詩と写真、風物、行事、旬の幸・生き物・草花等について見やすく分かりやすく構成され、親類や知人・沖縄各地を訪ねて見聞きしたことと関連文献を基に、見た・感じた・知った沖縄の表情を等身大の視点で伝えているところに好感が持てる。

 末尾にまとめた沖縄二十四節気一覧表も興味深い。琉球王朝時代の染織品が旧暦の中で培われ磨かれた感性と技法の賜(たまもの)であるということにも気付かせてくれる。(宮城奈々・染織家)