「土人」なんて言葉は僕らだって使わない。若い人がこんな言葉を使うことに驚いた。普通は使わないし、習うこともない。上の世代や警察幹部から、沖縄の人たちは「日本全体のことを考えない」という趣旨のことを聞く中で、市民運動に対する憎しみから出てきたのだろう。憎しみをつくり出しているのは誰なのか。国民一人一人が考えなければならない。

鈴木邦男さん

 政府も警察も危機感を持っている。沖縄の歴史を知れば誰だっておかしいと思うので、機動隊員が同情心を持ってしまっては困るということだ。下手したら、警察官が住民運動に取り込まれかねない。だからこそ、若い人に沖縄の歴史は教えない。国民全体が右傾化する中、沖縄との対立をつくり出しているのは政府だ。

 8月15日に靖国へ行くと右翼の街宣車から自分たちこそは愛国者であって、それに反対するのは日本人であるはずがないと決めつけ「朝鮮人だ、シナ人だ」と響く。「お前の母ちゃんデベソ」という悪口と同じレベルだ。

 僕らが学生のころ「戦争に結びつく愛国心は必要ない」と言う左翼も多くいた。それに対して僕らは、「冗談じゃない」と言って議論できた。言い合える自由はあった。今は違う。批判を許さない言葉は怖い。