「去年中はいろいろ御世話になりましてありがたう存じます」。約100年前に宮沢賢治が友人に出した年賀状の文面の一部だ。今とそれほど変わらない。毎年の事だが、もらうとやはりうれしい

▼日本郵便が来年以降、1月2日の年賀状の配達をやめると先月末発表した。年賀状を出す人の減少やコスト削減が理由だ。年賀はがきの発行枚数もピークから今年は3割減の約32億枚に落ち込んだ

▼「あまりにも唐突な発表で郵便局のサービス低下を感じる」と、沖縄市の桑江良憲さん(76)は本紙オピニオン面に投稿(3日付)。利益追求による民営化の弊害だと配達中止に疑問を投げた

▼桑江さんは30年近く絵手紙で年賀状を出している。「メールは便利だが、手書きには味わいと、気持ちの触れ合いがある」と魅力を語る。今後、2日以外にも配達を中止する日が増えるのではと懸念する

▼日本郵政傘下のかんぽ生命保険に勤める知人は「民営化してよかった」と言う。業務は多くなったが、さまざまな客のニーズに応えられるし、頑張れば給料が増えるしくみになったからだ

▼年賀状を出す文化は、ネットの普及で変化が起きている。自分自身も年賀状を出したり、もらったりする枚数は確かに減っている。メールで済ます場合も多い。かといって手書きもまた、捨てがたい。(玉寄興也)