東日本大震災以降も、熊本、鳥取と断続的に地震が発生している。沖縄県内でも今後30年のうちに大規模地震が30%前後の確率で起こる可能性が専門家から指摘されている。「巨大地震、守れるか県民の命と健康」と題し、災害医療をテーマにした県医師会公開講座が12日、開かれる。講演者の1人で、那覇市立病院循環器内科部長の間仁田(まにた)守医師に、個人ができる備えを聞いた。(学芸部・高崎園子)

災害時の薬の備えの大切さを説く間仁田守医師=那覇市立病院

 「離島県の沖縄は陸続きの本土と違って、救援の物資や人が届くまでに最短でも数日かかる可能性がある。服薬している人は、1週間分だけでも、薬を持っているかどうかが生命線になる」

 間仁田医師はそう指摘する。

 例えば、不整脈、狭心症、心筋梗塞などの循環器疾患は、急に薬を止めると、病状が悪化し、命に関わる事態に陥る場合がある。

 被災直後は、医療機関の機能がストップする可能性があり、慢性期の患者より、けが人など救急対応が必要な患者が優先されることが考えられる。

 そのため、服薬している薬を1週間分程度保管しておき、それを持って避難することが重要になる。

 飲んでいる薬の名前や病名、治療内容を記録したものやお薬手帳を分かりやすい場所に保管しておくことも必要だ。

 被災時には、かかりつけ医に診てもらうことは難しくなる。服薬情報が分かれば、特別な医療体制下で県外などから入ったボランティアの医師、薬剤師らが安全、迅速に対応することができる。

 実際、東日本大震災では、津波でカルテや処方箋が流され、通院している人への医療の難しさが問題になった。

 いざというときにすぐ探せる保管場所も大切だが、適している場所の一つが冷蔵庫だ。一家に大抵1台あり、分かりやすく、目印になりやすい。

 最近は、災害時だけでなく、病気などの緊急時に備え、医療情報を入れた「緊急医療情報キット」と呼ばれる筒状の容器を、高齢者らに無料配布する自治体も県内外で増えている。キットは万が一の時に、救急隊員がすぐ見つけられるよう、冷蔵庫が保管の定位置になっている。

 間仁田医師によれば、薬情報だけでなく、薬も、結露を防ぐために密封容器などに入れれば、冷蔵庫での保存が可能だという。

 さらに、薬の説明書などをスマートフォンなど携帯電話のカメラで撮って、保存しておくのも一つの手だ。間仁田医師は「自分の身を自分で守るための備えをしてほしい」と訴えた。

■県医師会公開講座 12日、パシフィックホテル沖縄で

 県医師会県民公開講座(主催・県医師会、沖縄タイムス社、共催・県)は12日午後1時半~3時半、那覇市のパシフィックホテル沖縄・万座の間で開かれる。入場無料。被災地で災害医療に従事した経験のある医師らが県内の現状や今後必要な備えなどについて話す。問い合わせは沖縄タイムス社、電話098(860)3573。