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  • 新米大統領の下、軍事戦略の「費用対効果」議論は避けられない
  • 在日米軍はアジアとの距離を縮める「国益」。「撤退」の実現性は低い
  • 沖縄にも影響が出る見込みで、日本への「予算」の増額要求も強まる

 米大統領選では、トランプ氏が同盟国に対し、防衛費増額を求め、応じなければ「撤退」を視野に入れると強気だ。経済格差に不満を持つ国民から一定の支持を得ている。クリントン氏が当選した場合も、国内の求心力の低さを打開するため、外向けに強い要求を打ち出すとの見方がある。米国にとって国防費と軍事戦略、いわば「費用対効果」は避けて通れず、新大統領の下、在外米軍の在り方が議論されれば、沖縄にも影響が出る。(特別報道チーム・福元大輔)

在日米軍関係経費の推移

 「米国はサウジアラビア、日本、ドイツ、韓国を守る余裕はない」。先月19日の第3回候補者討論会。トランプ氏はこれまで同様、安保の「ただ乗り論」を批判した。同盟国の負担を増やし、米国の負担を減らすことで、国内の雇用創出の財源にするというトランプ氏の主張は、低所得者の間で肯定的に受け止められている。

 元共同通信ワシントン支局長で、早稲田大学大学院の春名幹男客員教授は討論会の場でクリントン氏から具体的な反論がなかったことに注目する。「トランプ氏はもちろん、メール問題などで傷ついたクリントン氏も低所得者層の声を無視できない」

 在日米軍の存在は、アジアとの距離を縮める上で米国の「国益」であり、「撤退」の実現性は低い。想定される要求は「思いやり予算」の増額だ。日本は、在日米軍の費用を負担しており、「ただ乗り論」は当てはまらない。米軍基地内で働く日本人従業員の給与や米軍人・軍属の光熱水費など毎年2千億円近い「思いやり予算」を含む7千億円以上の米軍関係経費を支出している。

 2016年度から5年間の「思いやり予算」を決める昨年末の交渉で日本政府は減額を求めたものの、米政府の要求に押し切られる形で、前の5年間を約133億円上回る、5年間の総額9465億円で合意となった。日米外交筋は「向こう5年間の思いやり予算は合意済みで、米国が増額を求めることはあり得ない。辺野古移設の見直しを探った鳩山政権と同じ状況と考えればいい」と楽観視する。

 しかし、思いやり予算自体が日米地位協定に根拠がないという指摘があるほか、日米特別行動委員会や米軍再編の関係経費など「日本負担の枠」を広げてきた経緯があり、春名氏は「米国は、もはや世界の警察としてのコストを払えない。国民の声に押され、日本への要求が強まると考えて間違いない」とみている。