復帰前後、基地従業員の大量解雇が相次いだとき、全軍労(全駐労の前身)は、首切りに反対しつつ、その一方で「解雇するなら基地を返せ」と主張した。東村高江区(仲嶺久美子区長)の今回の判断は、当時の全軍労の対応を思い起こさせるものがある。

 高江区は6日、代議委員会を開き、米軍ヘリパッド建設に伴う国からの財政支出を受け入れることを全会一致で決めた。

 ただしこれは、ヘリパッド容認を意味するものではなく、過去2回の反対決議を堅持することも全員で確認したという。仲嶺区長は「受け入れは決して基地とリンクしない」とも語っている。

 高江区の判断はかつての全軍労がそうであったように、一見、矛盾しているように見える。「カネをもらって反対を堅持するというのは筋が通らない」という批判が出てくるかもしれない。

 そうした危うさがあるのは確かだが、区民が直面する被害の現実を考えれば、ベトナム戦争時の過去から現在に至る「迷惑料」として受け取る、という高江区の考えを軽視することはできない。

 実際、高江周辺では、すでに完成した2カ所のヘリパッドでオスプレイの低空飛行訓練が行われ、住民は豊かな自然とは似ても似つかない「軍用機騒音」に悩まされているのである。

 高江区の対応が問題なのではない。今、焦点化すべきなのは、政府の「自治破壊」と「地域分断」であり、そこにこそ問題の核心がある。

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 政府は名護市辺野古への新基地建設を進めるため、建設に反対する名護市を通さずに直接、辺野古・久志・豊原の3区(久辺3区)に補助金を流す仕組みをつくった。

 地方公共団体でもない自治会的な組織に国から直接、補助金を交付するのは異例中の異例。その結果、例えば、久志区は公民館の隣に休憩小屋を整備するという。

 休憩小屋の設置はあきらかに「地域の仕事」であり、「地域の仕事」は地方公共団体の責任で行うべきものだ。名護市を「中抜き」した補助金の直接交付は、地方自治をゆがめ、住民を分断する。

 政府は、明確な法的根拠もないまま、防衛省訓令で「再編関連特別地域支援事業補助金交付要綱」を定め、久辺3区への補助金交付をスタートさせた。米軍再編特別措置法が来年3月末で切れることから、これを10年延長し、久辺3区への補助金を改正法の中に新たに盛り込む考えだ。

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 「再編関連特別地域支援事業補助金」は辺野古の新基地を対象にしてつくられたもので、高江区への交付金は対象にならない。どうするつもりなのか。

 「辺野古」「高江」をめぐる政府の対応は、立憲主義も法の支配もお構いなし、といった様相を呈している。

 市民の反対行動は強制的に排除し、県に対しては沖縄振興予算で揺さぶりをかけ、区レベルの組織に対しては、アメとムチの露骨な使い分け。憲法や地方自治法をないがしろにした強権的な手法はあまりにも異常だ。