第2次泡瀬干潟埋め立て訴訟で福岡高裁那覇支部は、埋め立てに反対する住民の請求を退けた。経済的合理性を欠くとはいえないとし、行政の裁量権を広く認める判決だ。

 多くの貴重な動植物が生息し、ラムサール条約登録の準備が進む干潟を巡る裁判は、自然環境の重要性については踏み込まず、一審判決をほぼ追認するものになった。

 沖縄市の泡瀬干潟や周辺海域を埋め立ててスポーツコンベンション拠点として整備する事業に対し、住民260人余りが「自然環境が破壊される」などとし、県知事や沖縄市長を相手に工事費などの支出差し止めを求めていた。

 判決には「サンゴ類や藻場については周辺にかなりの分布域が残る」「動植物の生息環境は相当程度保全される」など行政の説明をなぞったような文言が並ぶ。本当にそうなのか。

 原告団長の前川盛治さんは、既に海草藻場が減少し、渡り鳥が激減していることなどから「相当程度保全」という判決を強く批判する。

 行政は工事の影響を継続的に調査して結果を公表し、住民の懸念に応えるべきだ。

 判決を受けて翁長雄志知事は「県や市の主張が認められ妥当なものと考えている」とのコメントを発表した。

 環境保護などを十分考慮していない点で判決は、県が敗訴した辺野古違法確認訴訟の高裁判決とよく似ている。

 米軍基地とスポーツ施設の整備では性質が全く異なるが、辺野古も泡瀬も希少な自然であることに変わりはない。知事には「妥当」の根拠を丁寧に説明してもらいたい。

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 地域活性化の目玉として泡瀬干潟埋め立てが構想されたのは30年も前のことである。

 沖縄市は市面積の約3割を米軍基地が占めていて、用地不足が生活や地域振興に影を落としているとして、その活路を海に求めたのである。

 判決では「陸域でまとまった用地の確保は難しい」「基地依存からの脱却と那覇都市圏との地域格差の是正を図るため」と、埋め立ての必要性についても言及している。

 思い出すのは市が過去に第三セクターのコリンザなどで失敗を重ねたことである。2005年に市民が提訴した第1次訴訟では計画の実現性に疑問符が付き、一、二審とも「経済的合理性が認められない」と公金支出の差し止めが命じられた。

 それを受け市は埋め立て面積を縮小した見直し案を策定。今回の判決はこの案に対するものである。

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 復帰後、2013年までに沖縄県の面積は27平方キロも増えている。

 振興開発事業の一つとしてハイペースで埋め立てが進められたためだ。それによって自然の海岸線や干潟は次々と姿を消していった。

 本島面積の18%を米軍基地が占めている事実は無視できない。同時に高率補助による公共事業主体の振興策が、それを後押しした側面がある。

 沖縄の宝である自然、観光の目玉でもある海をどのように次世代に引き継いでいくのか。泡瀬干潟訴訟はそのことを問い掛けている。