少し疲れたとき、手に取る本がある。仕事や家族、恋愛などの人生相談をまとめた「悩むが花」。著者の伊集院静さんの一刀両断する回答が痛快で、疲れも吹き飛ぶ

▼面白い仕事を次々と任される同期に悔しい思いをする30代女性に「面白い仕事ってのは、仕事じゃない」。就活で何度も失敗している20代男性には「仕事をみつけるのに人生の半分を費やしてもいい」と説く

▼どんな仕事にも悩みは尽きない。だが、愚痴や弱音、悩みも吐露できない環境は正常とはいえない。広告大手電通の女性新人社員が過労自殺した問題は働く者、経営者にとっても人ごとではない

▼県内でも過重労働の実態は深刻だ。厚生労働省の調査で「違法な残業」があった企業は、対象事業所全体の65%に上った。表には見えにくいサービス残業や長時間労働がはびこっているのが現状だろう

▼かつて月に100時間近く残業した経験があるイラストレーターの汐街(しおまち)コナさんが過労自殺の対処法などを描いた漫画をツイッターに投稿した。長時間働き続けることで「どう対処していいか」の判断力自体を奪うと強調し、「まだ大丈夫」と思える段階で対策を打つことを勧める

▼労使ともに受け止めたい内容だ。だれかに相談したり、立ち止まって休む選択肢があることを共有できる職場環境づくりにつなげたい。(赤嶺由紀子)