米大統領選に勝利したドナルド・トランプ氏は選挙戦で女性蔑視や人種差別的な発言を繰り返し、批判も浴びた。被爆国・日本に対し核武装容認論も展開するなど不安を残している。県内の識者らに選挙結果の受け止めを聞いた。

伊江和夫さん

宮城晴美さん

白充さん

伊江和夫さん 宮城晴美さん 白充さん

核武装容認見過ごせぬ 伊江和夫さん(県原爆被爆者協議会理事長)

 選挙戦で日韓の核武装容認論を展開したトランプ氏の真意は正直よくわからないが、日本が唯一の被爆国であり、原爆投下によってどれほどの被害を受けたのかをおそらく知らない。

 ただ極めて不謹慎な発言だし、このまま放ってはおけない。日本政府も日本原水爆被害者団体協議会(被団協)もその真意を把握し、抗議が必要なら早急に対応するべきだ。

 オバマ大統領を広島に招いたように、トランプ氏が来日する際には広島・長崎をしっかり見せてほしい。原爆の被害実態をしっかりと理解するために必要だ。

女性蔑視の助長が心配 宮城晴美さん(沖縄女性史家)

 人権や差別の側面から言えば最悪の結果になった。欧州の移民排斥など、近年はマイノリティー排除の動きの広がりが気になる。彼が実際に大統領になると考えると、これまで言いたい放題だった問題発言の重みはまったく違ってくる。恐らく自国の軍隊の性犯罪にも鈍感なのではないか。これだけ人権感覚に問題ある人物が米国のトップになることで、米軍内の人権感覚にも悪影響をもたらし、女性蔑視が助長されないか非常に心配だ。女性の人権について、沖縄の訴えがますます届かなくなるという不安が大きい。   

排他的 社会の分断招く 白充(ペク・チュン)さん(弁護士)

 トランプ氏は勝利宣言して「私は全ての国民の大統領になる」と融和を呼び掛けたが、これまでのイスラム教徒の入国制限や、メキシコ国境への壁建設などの発言が気に掛かる。米国で排他的な空気が漂っている気がする。

 だが日本でも、国籍や宗教、考え方が違う人を中傷する空気がまん延している。「土人発言」もその延長だと思う。

 不満を他者にぶつけても真の幸福感は得られず、社会の分断を招くだけだ。日本に住む人は対岸の国の大統領選挙を見て、社会の出来事と向き合ってほしい。

基地容認派も影響懸念

 【名護】名護市辺野古の区民で条件付き容認の立場の男性(68)は、トランプ氏の在日米軍撤退の主張に「普天間飛行場の移設も米軍も、ないに越したことはない。大いに結構だ」と歓迎した。

 一方で、米軍撤退で「日本が自国防衛できるのかとの懸念もある」とし、軍用地料や直接交付金を活用した区のまちづくりについて「影響が出るのか、非常に心配だ」と複雑な心境を語った。

 移設を容認してきた元名護市長の島袋吉和さん(70)は「国と国との約束で、移設の撤回はできないだろう。ただ、思いやり予算の大幅増額などの要求が出てきて、日本中が驚くかもしれない」と話した。