2017年(平成29年) 12月19日

沖縄タイムス+プラス ニュース

<米大統領選・トランプ氏勝利>沖縄の基地、対日政策…どうなる? 識者2人の見方

安保再検討、絶好の機会 池上大祐氏(琉球大准教授)

 保守色の強いトランプ氏は、一見して軍需産業と結びついて他国の紛争に積極的に関与する“ネオコン”と思われがちだが、そうではない。米国の識者には、共和党内の「アメリカ・ファースト・ブロック」(米国第一主義)層とみられている。

 このグループの傾向として、他国への関与より米国内の産業振興を重視する「孤立主義」がある。

 また、黒人や移民の積極登用などを意味する「アファーマティブ・アクション」(積極的に差別を是正する措置)を「逆差別」だと批判したり、イラク戦争を費用負担の観点から「国益にならない」と反対したりする特徴もある。

 日本の安全保障にとって最大の特徴は、第2次大戦後、米国に初めて「世界の警察」を掲げない大統領が誕生したことだ。過去の大統領は程度の差こそあれ「国際主義」の名の下に、軍事介入をためらわなかった。

 しかし経済的合理性を重視するトランプ氏は、他国に駐留する米軍の撤退にも言及しており、日本側は新大統領にどう向き合うべきか困惑しているだろう。

 名護市辺野古で新基地建設に抗議している市民と話をすると「トランプ氏が就任すれば、辺野古移設を再考してくれるのではないか」との期待を感じることもある。

 ただ、私はトランプ氏が就任後、仮に本気で在沖米軍の撤退を望んでも、引き留めるのは日本政府ではないかとみる。

 1960年代に在沖海兵隊の撤退が検討されたときも、駐留の継続を望んだのは日本側だった。普天間飛行場の県外移設を掲げた鳩山由紀夫首相が誕生したときも、日本政府の官僚が米国に辺野古移設を堅持すると注進していた。

 本来は日本の安全保障を再検討し、在日米軍の再編成を実現する絶好の機会ととらえるべきではないか。

 トランプ氏には現時点で、対アジア戦略の明確なビジョンがあるとは考えづらく、沖縄に関する知識も乏しいだろう。

 ワシントンに事務所を置く県は、従来のロビー活動に加え、沖縄が背負ってきた基地負担の歴史や自己決定権を求める民意などを、米新政権へ積極的に発信する必要がある。

 また、大田昌秀県政時代に力を入れた米国内での公文書発掘にも取り組み、学会や国際社会などに連帯を広げる努力も求めたい。(米国現代史)

 ■いけがみ・だいすけ 1978年、福岡県出身。福岡大人文学部卒。主な著書に「アメリカの太平洋戦略と国際信託統治 米国務省の戦後構想1942~47」など。現在は琉球大法文学部准教授。

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