【ジョン・ミッチェル特約通信員】沖縄県の米軍普天間飛行場でことし6月に起きた航空燃料の流出事故は、壊れた安全装置を修理せず放置していたことが原因だったことが分かった。本紙が証拠の写真を入手した。写真を提供した内部の専門家は海兵隊の事故防止対策について「怠慢で、ばかげている」と厳しく批判した。

動画の一部。芝生の斜面にある排出口から燃料があふれ、白く見える。地面を経て排水口に流れ込んでいる=普天間飛行場内(提供)

緊急時に燃料の流れを遮断するタンクの安全装置に結束バンドが巻かれ、無効化されていた=普天間飛行場内(提供)

動画の一部。芝生の斜面にある排出口から燃料があふれ、白く見える。地面を経て排水口に流れ込んでいる=普天間飛行場内(提供) 緊急時に燃料の流れを遮断するタンクの安全装置に結束バンドが巻かれ、無効化されていた=普天間飛行場内(提供)

 事故は6月15日、飛行場北東部の燃料貯蔵地区で発生し、航空燃料6908リットルが流出したことが既に判明している。本紙が情報公開請求で入手した内部文書によると、燃料を移し替える先のタンクを間違え、あふれさせていた。

 本来、タンクにはバルブで燃料の流れを遮断する安全装置があり、作動すれば注ぎ過ぎてもあふれることはない。だが写真では安全装置に結束バンドが巻かれ、無効化されている。

 写真は普天間などの在日米軍基地で10年以上働いてきた専門家が提供した。「安全装置は壊れていた。海兵隊員は修理ではなく、迂回(うかい)することを選んだ」と批判する。

 この事故について、在日米軍は沖縄防衛局に安全装置故障の放置ではなく「バルブの誤調整」が原因だったと伝えていた。通報内容が事実と異なっていたことも浮き彫りになった。

 本紙は今回、12秒のビデオも入手。芝生に覆われ、内部に燃料タンクがある山のような構造物が写る。斜面の排出口からは多量の燃料があふれて白く見え、地面を経て排水口に流れ込んでいる。

 専門家によると、監視要員がいなかったことも事態を悪化させた。「普天間の海兵隊員にとっては典型的な事故だ。安全基準を無視し、過去の教訓にも学ばない。率直に言って彼らの仕事は怠慢で、ばかげた行動を取る」と語った。

 同タンクでは2009年3月にも燃料757リットルの流出事故が起きており、専門家は兵員教育の欠陥を指摘。さらに、燃料貯蔵地区の火災への備えが「とても貧弱」と懸念を表明した。

 これらの指摘や「政治的に注意を要する事故」は日本側に通報しないと命じていた過去の本紙報道について、海兵隊は取材に回答していない。