南風原町の県立南部医療センター・こども医療センター看護師、島尻章子(あきこ)さん(44)=那覇市=は乳がんと闘うサバイバーだ。骨や肺への転移があり、進行度は最も重い「ステージ4」。それでもホルモン療法で病を抑えながら、持ち前の陽気な性格と職場の理解を支えに1日8時間、フルタイムで働く。がんは人ごとじゃない。請われれば、できる限り体験を語ってきた。そして「社会が抱くがん患者のイメージを変えたい」と願う。(社会部・新垣綾子)

人工透析中の男性に体調を尋ねる看護師の島尻章子さん。男性は「透析室のマドンナ」と慕う=1日、県立南部医療センター・こども医療センター

 がんと診断されたのは、実家がある宮古島の県立宮古病院に勤めていた2013年10月。その5カ月前には右乳房のしこりに気付いていたが、病院が新築移転で慌ただしく、何よりがんと言われるのが怖かった。長引く腰痛や肋骨(ろっこつ)骨折、右肩の痛みが重なる中、3年ぶりの乳がん検診で嫌な予感は現実に。しこりは約2センチ。脊椎や左肋骨、骨盤、左肺などへの転移も分かった。「私、死ぬのかな」。不安が募り、何度も泣いた。

 「切り替えは早かった」と言う。ホルモン治療と並行し、告知1カ月後には抗がん剤治療のため休職したが、クリスマスには前の職場の同僚らが「応援DVD」を制作。友人たちからもマフラーや帽子が山のように届き「絶対、乗り越える」と奮い立った。「天職」と言い切る看護職への愛着も原動力に。3カ月で職場復帰を果たした。

 今は夜勤がなく体調がコントロールしやすい透析室の看護師。関節痛や発汗、眠気など薬の副作用があり、骨の痛みも付きまとうため、患者の移動など力仕事は避け、こまめに休ませてもらう。

 古波津百子看護師長(47)は「責任感が強いので、頑張りすぎていないか目配りする。無理は禁物だが、本人が望む透析に関する資格取得も、最大限応援したい」と見守る。

 島尻さんの病状を知る、なじみの患者に「あんた、大丈夫ね」と心配されれば「それはこっちのせりふですよ」と突っ込む。「病気で制限されることもあるが、周囲のバックアップがあれば多くのことが実現できる。私を見て、少しでも勇気づけられる人がいたらうれしい」。韓国の人気男性デュオ、東方神起の大ファンで「2人が兵役を終えたら、ライブに行きまくりますよ」とも。

 がん患者や家族を支援するため12、13両日に浦添市内で開かれるイベント「リレー・フォー・ライフ」では体験を語るほか、同僚と組む音楽バンドでギターを担当する。