参院選投開票日の当日、僕は那覇にいた。現職の糸数慶子陣営の苦戦が伝えられていたこともある。ほとんど無名の安里政晃氏という自民候補が、沖縄本島以外でかなり優位に立っているらしいとの情報もあった。

 結果は糸数議員が3万3千票あまりの差で再選されたが、苦しい勝利というのが内実だった。2007年の参院選では12万7千票あまりの大差だったことを考えても今回は厳しい戦いだった。とりわけ2014年1月に市長選挙が予定されている辺野古の地元である名護市の得票では、両候補はおよそ150票差まで拮抗していた。一党支配に再び戻った日本の政治状況の中で、特に着目しておかなければならない場所だ。

 それにしても、仲井真弘多県知事がこの無名の自民候補を全面支援したのには、あきれたもんだな サマータイム・ブルース!((c)忌野清志郎)。さらには、あの翁長雄志・那覇市長までもが自民候補支援に回ったとは、あきれたもんだな サマータイム・ブルース! 

 県知事選挙が来年に近づいている。翁長氏はその有力候補のひとりである。オスプレイ配備反対、普天間基地の県外移設を明言し続けた翁長氏に対しては、東京のその筋から激しい非難が寄せられたと聞いたが……。ここまでが前置きである。ここから先が本論です。

 QAB(琉球朝日放送)という沖縄県の民放テレビ局が制作したドキュメンタリー映画『標的の村』(プロデューサー;謝花尚<じゃはな・たかし>、監督;三上智恵)が8月10日から全国で順次ロードショー公開されることになっている。僕も試写会でこの作品をみたが、おそらくさまざまな感想を持つ人がいるだろう。それ以前にテレビ放映版(47分版)の方を僕はみていたが、すでに数多くのテレビ関連の賞も受賞しているすぐれた作品だ。

 その映画版の方は、時間ももっと長く、構成もより練られた形になっていて、「よくもここまで粘り強く造り続けたなあ」との感慨を覚えた。

 とくに2012年9月27日から10月1日にかけての普天間基地ゲートでの住民による封鎖の直接行動の模様は、現場にいた取材者たちの撮った映像、現場リポートが迫真性をもってまっすぐにみる者に伝わってきた。

 そのことが起きていた9月27日から10月1日にかけて、僕は中国の北京にいた。

 日中国交正常化40周年を迎えたまさに記念日のはずだったその日々、尖閣諸島の領有権問題をめぐって日中両国の関係は戦後最悪に近い状態になっていた。日本政府が国有化を宣言(2012年9月11日)して以来、9月15日~19日にかけて中国全土では激しい反日デモが起きていたのだ。