米軍基地の環境汚染事故は外からうかがい知ることが難しい。日米地位協定によって米軍の排他的管理権が認められ、日本側が調査・検証する術(すべ)を事実上持たないからだ。

 米軍普天間飛行場でことし6月に起きた航空燃料の流出事故は、壊れた安全装置を修理せずに放置していたことが原因だと分かった。

 当時、米軍は「バルブの誤調整」と説明していたが、実際はずさんな管理が流出を招いていたのだ。米軍が虚偽の説明をしていたことになる。

 安全装置を修理せずに放置していた決定的な写真と、航空燃料が排水溝に流出するもようを撮影したビデオを、普天間などで10年以上働いてきた内部の専門家からジョン・ミッチェル特約通信員が提供を受けて実態が明らかになった。専門家は監視要員がいなかったことも事態を悪化させたと言っている。

 タンクからあふれた航空燃料が白く見え、排水溝に流れ込む様子がビデオで確認できる。米軍は航空燃料の流出は格納施設内にとどまっているとしていたが、ビデオを見れば排水溝に注ぎ込んでおり、事実に反するのは明らかだ。土壌汚染も懸念される。

 米軍は流出量も当初946リットルと宜野湾市に伝えていた。同市の問い合わせに6900リットル以上と訂正してきた。

 排水溝から航空燃料が流れ込んだ先はどこなのか、そこの調査はしたのか、汚染の範囲など調査結果はどうだったのか。住民の生命と安全に関わることである。米軍は周辺自治体や住民に、きちんと説明する義務がある。

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 なぜ米軍は事実と異なる通報をするのか。

 日本側の立ち入り調査が米軍の裁量次第であることが大きく影響しているだろう。ボン補足協定でドイツのように通告なしに立ち入り調査ができるのとは雲泥の差である。

 米軍が情報公開に後ろ向きなのも原因だ。普天間で2005年から16年の間に流出事故が156件発生し、通報があったのはわずか4件であることが裏付ける。

 昨年9月に政府が米側と締結した「環境補足協定」に実効性がないことも要因だろう。協定には米軍の調査受け入れ義務を明記していない。通報するかどうかは米軍に委ねられているのである。

 環境補足協定が締結された後、県民の飲料水となる嘉手納基地の周辺河川から残留性有機汚染物質のフッ素化合物PFOS(ピーホス)が高濃度で検出されたことが発覚したが、そもそも米軍からの通報がない。県の立ち入り調査も実現していない。

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 普天間の「環境事故対処ハンドブック」の中で、「緊急でないか、政治的に注意を要する事故」を日本側に通報しないよう命じていることが明らかになっている。

 地元の意見を聞き、立ち入り調査がすぐにできるよう環境補足協定を改定して実効性を高めなければならない。

 県には基地内で流出事故の疑いがあれば、関係自治体が立ち入り調査ができるようなシステムの構築を提起してもらいたい。日本政府も米側に強く働き掛けるべきだ。